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●課題:ゲノムと行動●

1 :助教授:01/10/29 06:04
トックリバチって知っていますか。以前何かのエッセイに書いて
あったが、泥を練り固めてとても綺麗なトックリ型の巣を作るら
しい。その仕上がりは芸術的ですらある、とエッセイには書いて
あった。

さて、そこで課題。このハチは社会性を持たない“一匹狼”。で
あるから“トックリ”の作り方は親や仲間に教わったわけではな
い。親から受け継いでいるのはそれこそゲノムのみ。つまり、ト
ックリを作るという高度な行動様式が、DNAレベルに“還元”さ
れて親から子へ受け継がれていることになる。

このメカニズムを
遺伝子レベルで考察せよ。

2 :2:01/10/29 16:26
2げっと

3 :名無しゲノムのクローンさん:01/10/29 16:47
とっくり以外の入れ物で幼虫を育てたら
その幼虫が成虫になったあと、どんな巣を
つくるのかな? 親はいなくても親が作った
巣は見て育つわけでしょう?

4 :M1:01/10/29 17:14
先生!トックリ蜂のHPみつけましたーー!
http://inpaku.kajima.co.jp/ani/tokkuribachi/

5 :助教授:01/10/29 20:07
>>4がいいもの見つけてきた

>>3
確かに幼虫はトックリを見て育つわけですが,その製法までは見ていない
んです.4のHPによれば乾いた泥に唾液を混ぜて強度持たせたり,“アリ返し”??
を口のところに作ったりして,かなり手が込んでいます.完成品のトックリ
を見ただけではとてもそこまでできないと思うのですが….

ここはやはり学習ではなくて,生まれながらにしてこのような精巧なトックリ
を作る能力を備えていたと見るべきではないでしょうか?

ちなみに,昆虫などの節足動物が学習をすること自体はすでに知られているよ
うです.

6 :名無しゲノムのクローンさん:01/10/29 20:18
まずそのハチはトックリを作ろうとも思っていないし、自分がトックリを
作っていることも知らないでしょう。遺伝的にプログラムされた行動を
自動的に連鎖的に発現することにより、結果的にヒトが見たらトックリと
呼ぶ構造物を作るのでしょう。

7 :名無しゲノムのクローンさん:01/10/29 20:37
遺伝子が決めているのは酵素を含む蛋白質の構造と、それをいつ生成する
かということだけでしょ。たとえば哺乳動物の外側膝状体から視覚皮質に
伸びる神経線維は、それが形成されるときは線維先端のneural coneが
周囲のどの物質にいつ応答するかだけを遺伝子が決めており、neural
cone自身はどんな構造を作るのか知らないけれど、遺伝子の言いつけ
通りに物質に反応して伸びれば、結果的にあの長い神経連絡を形成する
ということでしょ。そのハチの行動も結局、これと同じじゃないのかな。

8 :助教授:01/10/29 21:17
>>6
出来上がったトックリを眺めて,熱燗でぐっいっと一杯行きたいな,なんて
ハチが考えていたら面白いですね.まぁそんなことはないと思いますが….

やはり,6さんの言うとおり自分がトックリを作っていることなんか,知らない
んでしょう.“遺伝的にプログラムされた行動を自動的に連鎖的に発現するこ
とにより”とおっしゃいましたが,そのとき遺伝子レベルで何が起こっている
のか,どんな遺伝子が関与しているのか,そのあたりにとても興味があります.

9 :助教授:01/10/29 23:03
>>7
トックリ作りなどの特定の行動をハチがとるようになるためには,神経連絡
(回路?)を形成する必要がある.そのためには(システマティックな)
遺伝子発現が必須である.というように(少々簡単すぎますが)理解しました.

人間の場合,性行動など本能がはたらく行動も勿論ありますが,ものを
造ったりというような“知的”な行動は殆ど学習によって得とくしている
のではないでしょうか?あるいはさらに進んで,本能に基づく行動は低俗
なもの,学習による行動は知的なものと決めつけたりすることもありますが
昆虫では必ずしもそういうことが成立しないようです.

10 :名無しゲノムのクローンさん:01/10/29 23:42
え、しらない?
巣が盃型になるochokoっていうmutantがあるんだよ。(Nicoll et al., 1998)
土台だけ作って上半分無しなの。
これはある種の神経伝達物質を分解する経路に関わる蛋白をコードしてて、
巣作りの後半に関わる神経の活動がおかしくなるらしい。



なんてどうよ。

11 :助教授:01/10/29 23:48
>>10
ありがとうございました.知りませんでした.ところでその
ミュータントの場合幼虫はどのように育つのですか??

・・・もしや,ネタですか?

12 :助教授:01/10/29 23:54
あ,やっぱり…
それにしてもochokoなんていうネーミングや,神経伝達物質
への言及はなかなかのセンスでしょう

ネタというにはもったいない,一考察ですね.

13 :10:01/10/30 00:27
御誉めに預かり光栄です。
雇っていただけますでしょうか、専任様。

14 :助教授:01/10/30 11:25
ちょっと論点がボケて来ましたので、ここでまとめてみます。

1.トックリバチというハチがいて、泥をこねて精巧なトックリ型の巣を作る。
  この、巣を作る行動は学習によってではなく、生まれつき、つまり本能に
  よるらしい。

2.ある特定の行動をとるには、それなりの神経連絡(回路?パターン?)が
  必要。学習によってこの神経連絡を増やすこともできるが、もちろん“本能”
  の場合、生まれつきに特定の神経連絡(回路)が出来上がっている。
 
3.ゲノム上の“遺伝的プログラミング”によって個体発生はコントロールされてい
  ると考えられている。本能をつかさどるような特定の神経連絡(つまりここでは
  トックリを作るようになる神経連絡(回路))の形成も遺伝子によりコントロー
  ルされる発生の一部である。

4.既にすぐれた研究が数多くあるように、遺伝子発現と形態学的発生とは比較的
  関連付けやすいのかもしれない。神経の発生(連絡、回路の形成)もその形態
  学的発生のひとつと考えられるが、ここで、問題にしているトックリバチの
  場合、その先の“トックリ作り”という行動までもがすでに既定されている
  ところが面白い。つまり、ものを作ったりという複雑な一連の行動までもが
  遺伝的に(DNA上にと書いてしまおう)プログラミングできるのである。

さて、“遺伝的プログラミング”なんて言葉を簡単に使ってしまいましたが、一体
どのような“プログラミング言語”があれば複雑な行動までもプログラムできる
のでしょうか?

ざっと、こんなところです。

15 :名無しゲノムのクローンさん:01/10/30 12:12
厨房がエラそーに宿題頼むなよと思ってたんだけど、そうでもないみたいね(笑)

で、複雑な行動というけど、トックリ作りってそんなに複雑かな?
・あらゆる方向に一定の曲率になるよう泥を盛っていく
・そのまま作れば球になるが、できあがってくると口が小さくなる
・口の中に自分が入れなくなったところで曲率を変える→襟を作る
プログラムの記述としてはかなり簡単だと思う。

16 :名無しゲノムのクローンさん:01/10/30 12:22
 これをここの板で議論するには、50年早いんじゃ
ないのか?まだまだ遺伝子と本能の関係なんて、
分からないというのが、実状。50年後にまた来てね。

17 :助教授:01/10/30 17:10
>>15さん
私は学生の頃昆虫を専門にしていたのですが、いまは別のことをしていますので
まぁ厨房みたいなもんです。

トックリ作りが複雑か?高度なものか?と問われれば、確かに議論の余地はある
ようですね。人間に当てはめて考えると、どうしてもモノ作りって知的な要素が
あるように考えるじゃないですか?実際、トックリを作るなんて、人間には出来
るけど、サルじゃ出来ないわけです。それをハチがやってしまうから面白い。

でも、ハチのトックリ作りは一見人間のモノ作りに似ているけど、その本質は
まったく次元の違うものかもしれないですね。上手く説明できないけど。。。

18 :名無しゲノムのクローンさん:01/10/30 18:34
トックリを作る行動がどういう風に進化してきたか考えると面白いかも。
トックリを作る前は何をしていたんだろうとか。
材料の泥はなんでもいいんですかね。

19 :名無しゲノムのクローンさん:01/10/30 18:38
さきに普通のハチがどうやって巣を作るのかの方が大事じゃん。
それとトックリを比較するの。

20 :名無しゲノムのクローンさん:01/10/30 18:43
ハチがコンパートメントを六角形にしようとしたんじゃないよな。

21 :助教授:01/10/30 19:10
>>18、19さん
進化ですか?神経科学、発生、ゲノムに加えて進化とは、トックリバチは
バイオロジーの重要課題をみごとに網羅していますね。

指摘とは直接関係ないかも知れませんが、日本には8種のトックリバチが
いて、種によってトックリの形が違うようです。

22 :助教授:01/10/30 21:15
神経科学だ、ゲノムだ、遺伝プログラムだ、と大げさな言葉がならびました
がちょっと掴みどころが無くなってしまいました。ここは一段下がって、
簡単に考えられるところからはじめましょう。

まずは、ハチのトックリ作りと人間のそれとを比べてみましょう。何か、
きっかけが掴めるかもしれません。

23 :名無しゲノムのクローンさん:01/10/30 21:44
>進化ですか?神経科学、発生、ゲノムに加えて進化とは、トックリバチは
>バイオロジーの重要課題をみごとに網羅していますね。

当然です。
「ティンバーゲンの4つの問い」知ってますか。

24 :助教授:01/10/30 22:15
>>23
ほう,生態学のかたでしょうか?ぜひ教えてください.

25 :助教授:01/10/31 01:11
“ティンバーゲンの4つの問い”が気になりますね。どなたか教えて下さい。

26 :名無しゲノムのクローンさん:01/10/31 01:57
あれれ

27 :名無しゲノムのクローンさん:01/10/31 02:25
ん?

28 :名無しゲノムのクローンさん:01/10/31 02:51
ああ、直った。やっぱりWindowsの再インストールは効く。

>>25
ティンバーゲンの4つの問いくらい、サーチエンジンで探せるよ。

29 :こんなのどう?:01/10/31 05:02
1. まず、トックリバチの変異株を獲得する。

X線、またはγ線のもとで、トックリバチを飼います。巣の形が
変化してしまっているものを単離します。

2. 純系株を得る。

変形した巣を作成する蜂をそれぞれ隔離し、その子同士で掛け合わせます。
これを繰り返し、変形した巣を作り続ける純系株を得ます。

3. 遺伝子のグルーピング。

上記で幾つかの変異型が得られたと思うので、それら同士を
掛け合わせます。同じ遺伝子に変異があるもの同士の子はや
はり変形した巣を作りますが、違う遺伝子に変異があるもの
同士の子は野生型になります。この方法で、得られている
変異株を幾つかのグループに分けます。グループの数が、
関与している遺伝子の数と一致するはずです。

4. 遺伝子座のマッピング及び、クローニング。

最終的にそれぞれの遺伝子が染色体の何処にあるかを調べ、
遺伝子の cDNA を得ます。必要であれば得られた cDNA を
変異株に導入し、complement するかを見ます。

30 :名無しゲノムのクローンさん:01/10/31 11:39
>>29
昔、それと同じ方法論でハエの学習行動を研究した発表を聞いたんだけど、単離
された学習異常を示すハエの「異常」の原因はほとんどが眼の色素の異常とか脚の
発達異常によるものだったんだよ。これでいいのかな? この方向でのハエの学習
異常研究の現状は知らない?

31 :助教授:01/10/31 18:12
>>29 さん
いよいよ本格的な実験計画が出てきましたね。29さんはかなり具体的にアプローチ
を書いてくれましたが、これはいわば“主流派”の考えですね。過去にも沢山
実績をあげた手法だと思います。このスレの“実験計画”のトップを
飾るに相応しい内容じゃないでしょうか。

やはり、懸念すべきは30さんの言うように、この行動(トックリ作り)に関連
する遺伝子が全て取れてきてしまう,ということが問題となると思います。
例えば、トックリバチの場合、触覚をモノサシ代わりにしてトックリを作る
らしいのですが(http://inpaku.kajima.co.jp/ani/tokkuribachi/)、
そうすると、触覚の形態、あるいは感覚に関与する遺伝子は全てトックリ作
りにも影響を及ぼしてしまいます。例えば,触覚の長さを決める遺伝子
がトックリ作りの遺伝子だと言われても納得できないですよね。

トックリ作りという一連の行動を主体的にコントロールしている遺伝子と、
それとは別にこの行動に結果的に関与してしまう遺伝子を何とか区別した
いですね。先の“触覚の長さを決める遺伝子”とか、30さんの指摘したハエ
の“眼の色素の異常”とかはもちろん後者になるわけです.


主体的にコントロール……この意味合いが難しいですね…

32 :行動は遺伝しないと思ってる人:01/10/31 18:33
横レスします。
私は本能と呼ばれているもののうち複雑な行動は遺伝しない
と思っている(つまりすべて後天的学習によるもの)一派のもの
です。遺伝するのは単純な反射や、筋力や、触覚・感覚器官
の鋭敏性や、脳のキャパシティーだけで、複雑な行動は遺伝
しない、と思っています。

その観点から見ると、>>29さんのあげた例というのは、すべて
上記仮説を側面から裏付けるものだと、いうことです。学習異常
でとれてくる遺伝子は、すべて「ハードウェア」の発達異常だ
ってことですよね?ソフトはあとから遺伝するものだと思いま
す。 

33 :名無しゲノムのクローンさん:01/10/31 18:58
>>32
複雑な行動と単純な行動の境目はどこにあるんですか?

34 :名無しゲノムのクローンさん:01/10/31 19:04
>32
他の個体とほとんど接触しない蜂だから、環境によってその行動パターンが変化しそうですよね。
行動パターンを、後から獲得するとは考えにくいですが?
例えば、トックリを作る可能性はきわめて低いと思います。
これはどう説明するのですか?

35 :助教授:01/10/31 19:14
>>32さん
横レス歓迎します。たしかに“一連の行動を主体的にコントロール
している遺伝子”という言い方は多少飛躍がありますね。なにしろ
遺伝子がコードしているのはただのタンパクなんですから。

>>14を読んで頂くとわかりやすいと思うのですが、このハチの生態を
見てみると、行動(トックリ作り)が遺伝的にプログラムされている
という仮説がもっともらしく思えます。>>34さんの指摘も同様のもの
と思いますが…

あるいは遺伝子(orゲノム???)抜きで,親から子へトックリ作り
を伝授するメカニズムを考案して見るのも面白いかも知れません。

36 :34:01/10/31 19:31
久しぶりに面白いスレッドを読ませてもらってます。
私は、遺伝的プログラム説が妥当だと思いますが、
重要なのは実験事実(もしくは観察)の積み重ねです。
助教授さん、この蜂の行動学的(なんて言えばいいの?)実験で、
「トックリの形を決めるのは環境ではない」と積極的に支持するものはあるのでしょうか?

また、トックリを作っている最中に、
トックリの一部をわざと壊してみたり、
トックリの向きを変えたり、
細工を行なった実験はありますか?

まず、この蜂のトックリ作製の行動に関する実験・観察事実を集めることが必要かと思います。
しってたら公表してくださいな。
考えるのはその後からかな?

37 :名無しゲノムのクローンさん:01/10/31 19:50
ファーブル昆虫記は面白いぞよ。
マルハナバチだったかなんかが巣に蜜や花粉を貯めて
いっぱいになったら巣の口をふさぐという一連の行動が
どうなっているのかを詳しく観察している。

巣の中に蜜を吐いて、その後後ろ向いて足についた花粉をおとして、
それからまた飛んでいく、という行動の途中で、例えば花粉落とし行動を邪魔してやると
また蜜の吐き戻し行動にもどってやり直さないと一連の行動を完了できなかったり。
おなかにはもう吐き戻す蜜は残っていないのに、そこからやり直すそーな。

ほかもいろいろ詳しく観察してたよ。

38 :34:01/10/31 20:52
>>37
なるほど。
やり直さないと気がすまないって面白いし、意味深ですね。
トックリ蜂の観察例をどなたか知らないのかしら?

無いなら、「助教授」へ提案です。
何はともあれ、トックリ蜂の行動様式を徹底的に調べる。
これが無いと始らない。
また、トックリ蜂に近い種のトックリとは違う蜂も同様に調べて比較する。
ここから、「遺伝的プログラム」に必要な要素が見えてくるかもしれない。
これと平行して、29さんのアプローチを始める。
この際に取れた変異体の行動も、要素に分けて野生型と比較する。
また、もう少し生理学的なアプローチも必要ですね。
例えば、神崎先生みたいな研究の進め方は参考になりそうですね。
http://www.moriyama.com/netscience/Kanzaki_Ryohei/index.html
でも、彼の調べていることに比べたら、トックリ作りははるかに難しそうだな。

システムバイオロジー屋さんでしたら、すぐにモデルを考えちゃうんでしょうね。
でも、ファクトが乏しい状況で出されたモデルが生き残った例はありませんよ。
「助教授」さん、まずは皆で野に出てファーブルのように蜂を観察しませんか?

この場が、単に遺伝的プログラムを空想するのを楽しむ為と割り切るのでしたら、
観察報告がたくさんあるミツバチの行動から適当な課題を出しなおしてください。
トックリ作りは難しすぎる気がしてきた。

39 :助教授:01/10/31 20:58
>>36さん
その通りだと思います。このハチの生態・行動をじっくり観察する
ことによりこの課題の“本質”というか目的とするところがもっと
ハッキリと浮かび上がってくるのだと思います。現時点では、この
課題が何を目指すのか、少々ぼやけていますからね。

もちろん“生態・行動をじっくり観察する”といったって,ここは
いわばヴァーチャルなラボですから,ウェッブをあちらこちら探し
回って情報をかき集めて来るわけですが(藁

40 :助教授:01/10/31 21:01
>>34、38さん
お、ダブりましたね。

41 :助教授:01/10/31 22:19
トックリバチの観察でわかり易いHPを紹介します。もしこの課題に
興味があって,お時間があれば訪ねてみてください.
http://inpaku.kajima.co.jp/ani/tokkuribachi/

>>38>>39さんに答えて
トックリに限らず、遺伝的にプログラミングされているらしい行動
って、実はたくさんありますよね。昆虫の行動なんか,殆どそうじ
ゃないかと思います。では何故トックリが面白いかというと、少な
くとも以下の2つは言えると思います:
1)ミツバチなどの社会性昆虫と異なり、トックリバチは単独行動
なので、親や仲間の影響を排除できる。
2)行動は複雑であるが(まだ異論のあるところですが),結果が
トックリというわかり易いものなので,解析が容易(ではないか)

もちろんトックリバチを実験動物として考えたら、デメリットも
山のようにありますが…

42 :名無しゲノムのクローンさん:01/10/31 22:38
トックリ作りが後天的か否かについては、卵のうちから巣(トックリね)
から別の飼育部屋へ移した個体が正常にトックリ作れるかで容易に判別
できるかと。
私は遺伝的にプログラミングされていると思うので、この場合できると
思うがこの後の展開は難しそうだな。結局遺伝子とニューロンネットワ
ークって問題に帰着するとは思うけど、そうなると何もあえてトックリ
バチ使う必要がない気がする。

43 :助教授:01/10/31 22:50
<<42さん
実は私も今おんなじこと考えてました。このスレ立てたときには
そこまで深く考えていませんでした。ただなんとなくトックリと
いうのが面白くて…。何しろ日本酒が好きなもので…。

ちょっと会議に行ってきます。また戻ります。

44 :名無しゲノムのクローンさん:01/10/31 22:55
>やり直さないと気がすまないって面白いし、意味深ですね。

「気が済まない」という表現には、
「やらないで済ますことも出来るけどやりたいからやる」
という自由度をこの蜂がもっていることを想定していように伺えます。

私の見解としては、一連の行動全体としては極めて複雑な物に見えても
その細部については極めてシーケンシャルな単純手続きであって
自由度の低い反応の連鎖が全体として複雑な仕事を達成しているだけ
というものです。
例えば「右の触覚が物に触れたら左前肢を前に出す」みたいな単純反応の組み合わせです。

↓ここのインタビューは面白いですよ。
http://moriyama.com/netscience/Kanzaki_Ryohei/index.html

45 :名無しゲノムのクローンさん:01/10/31 22:56
>>38へのレスです

46 :42:01/11/01 03:39
>>30
あまり新しいこと言えないけどdunce、rutabaga,radishなんて変異体から論文
引用するといいですよ。これらをコードするタンパク質の解析から一応cAMPの消
長に帰着することはできましたがね。CREB強制発現体なんかでも記憶異常は見ら
れるらしいです。

47 :名無しゲノムのクローンさん:01/11/01 03:39
>>42
生得的解発機構のように、トックリを作り始めるためになにか刺激が必要だと
したら、飼育室で飼ったのでは巣を作らない、なんてことはないかな。
もしも真っ白な球体の中で飼っても巣を作ったとしたら、ホルモンでも効いてる
のかな。

48 :42:01/11/01 03:58
>>47
そっちの方がおもしろいとは思うんだけどね、そうなるとトックリバチ
使う意義出てくるしね(W)。ただちょっと考えにくい。

49 :32:01/11/01 10:41
いや、なかなか面白いです。
少なくとも
1)遺伝子は蛋白をコードすることができる
2)遺伝子はその蛋白が発現する量をコントロールすることができる
3)遺伝子はその蛋白が発現する時期をコントロールできる
これだけの組合せで、細胞は分化し、脳神経はネットワークをつくり
特定の色。形。パターンを認識可能な脳ができるわけですから。

そうすると>>44さんの仰る細部は極めて単純な手順の組合せ
でプログラムが遺伝しているということはあり得ると思うように
なりました。
でも47さんのいうように、
「卵の内にとっくりからだされて別の形状の巣にいた幼虫は成
長してからとっくりをつくらない」という仮説は依然もっともらしい
とかんじます。
このような実験例はないのでしょうか?あるいは反証は?

50 :34,36,38:01/11/01 11:41
>>44
たしかに、すごく単純な行動のシークエンスである可能性はある。
だからこそ、「トックリ蜂の右の触覚を触ったら、左前肢を前に出す」のか?
等を実際に調べたいですよね。
そうであっても、そうでなくても面白い。
また、42さんの提案もすごく面白い。
これも、すぐ出来そうな実験ですね。

なんか、皆さんのいろんな意見を読めば読むほど
ソリッドな実験・観察事実を知りたくなってきます。
意外と、こういう研究って手薄なのかしら?

だれか、トックリ蜂を捕まえてきてくれ!

51 :47:01/11/01 14:21
>>49
いや、私も遺伝的にプログラムされた行動と考えていますよ。ただ、解発刺激は
正常な環境では当然あるはずなので、その刺激を受けることを込みにして(当然
受けるものとして、受けることを前提にして)プログラムされている、ということが
あり得るんじゃないかと言ってるだけです。だから白色球体の中で飼って巣を
作らなければなんらかの解発刺激があるはずだ、作れるようだと内因性のホルモン
などが巣作り行動を発動させていると言えるんじゃないかな。

私も遺伝的変異を起こさせる前に、intactなトックリバチでの行動を詳細に調べて
おきたいです。

52 :47:01/11/01 14:30
そうそう、>>51はどちらの結果が出るかでその後の研究方向が大きく
変わるので、一番最初にやっておいてもいいんじゃないかと思うん
ですよ。

53 :助教授:01/11/01 17:04
とてもバイオロジーらしいスレになりましたね。皆さんのレスを読んでい
てとても楽しいです。

あるていど議論を重ねると、やはりトックリバチそのものの生態をもっと
明らかにしなければならないというところに帰ってきてしまうのですけど、
バイオロジストとしては当然の発想ですよね。トックリバチの生態を知る
のに非常に良いHPがありましたので紹介します。一般向けの内容です
ので、プロフェッショナルにはものたりないかも知れませんが、なかなか
良くかけています。スポンサーがゼネコンというのも面白いですね。
http://inpaku.kajima.co.jp/ani/tokkuribachi/

54 :34,36,38:01/11/01 17:18
助教授!
そろそろ科研費の締め切りっすよ!
(っつーか、普通過ぎてる)
「トックリ蜂によるトックリ作りの遺伝的プログラムに関する研究」を出しました?
急いで書かなきゃ!

55 :助教授:01/11/02 00:33
>>44さん
遅レスですがようやく神崎先生のインタビュー読みました。頭をひっくり返した
ハエの話とか、カイコの話とか結構面白かったです。インタビュー記事の随所
に出てくるのですが、神崎先生は、昆虫を小さな機械、その脳は集積回路の
ようにとらえて仕事をされているようです。所謂機械論ですよね。“一見複雑な
行動も単純な作業の連続”という44さんの見解もその流れのなかにあるかと
思います。

昆虫の行動を理解する上で、機械論的な理解がよくフィットするのは私も異論
のないところですが、それと同時に機械論的発想では解決できないであろう
課題があることも気に止めておく必要があると思います。

まず、発生です。昆虫の成虫を見る限り、その脳は集積回路を例にたとえて理
解することも可能かと思うのですが、その成り立ち(作られ方)を見ると両者は
全く似て非なるものです。変な例えですが、車のエンジンオイルと餃子につける
ラー油は見た目そっくりですが本質は全く別物です。ラー油をもってエンジンオ
イルを理解するにも自ずと限界があります。

次に、意識の問題です。モレキュラー一本できた方は、意識と精神とか聞くと
笑っちゃうかも知れませんね。古くから脳神経科学(心理学)の重要な(究極の)
課題だと思うのですが、結局のところその原理というか機構はさっぱりわかりま
せん。これも機械(集積回路)と生き物(脳)の決定的違いであることには異論
はないでしょう。

機械論的なものの見方は、ある局面では非常に有効に機能しますが、同時に、
生物固有の特性、つまり上で述べた発生や高度な神経活動が絡む現象の理解
にはあまり威力を発揮しないのではないかと思うのです(少々乱暴ですが)。
ですので、ここでは、私は機械論から少し離れてみようと思います。

もちろん機械論的レスは大歓迎ですが…。

56 :名無しゲノムのクローンさん:01/11/02 00:45
あの-
機械論から離れるのは少し早すぎませんか?
発生は機械論と言うよりは、もはやモレキュラー
一本でほとんど説明できてしまいそうな勢いですし、
今回の昆虫の巣作りなどにかんして、定義にもより
ますが「高度な」神経活動なんでしょうか?

どうもはじめに結論ありき、のような気がするので
もうすこし慎重にお願いします。

57 :47:01/11/02 00:48
>>55
>頭をひっくり返したハエの話とか
意志の話が出てくるVon Holstの実験ですね。これが機械論的発想では
解決できないとお考えの課題ですか?
>ですので、ここでは、私は機械論から少し離れてみようと思います。
うーーん。離れてどこに行くんですか?

58 :助教授:01/11/02 01:13
>>56
早速おこられちゃったかな(藁  もちろん55にも書きました
ように機械論を否定するつもりはないのですが、機械論的なア
プローチはそれこそ神崎先生とかたくさんやられていますよね。
せっかくのこういう場ですから、もっといろんな発想があって
もいいのではないかと思うのです(もちろん機械論も含めて)。

ではどんなアプローチがあるのかというのが問題ですが・・・

59 :名無しゲノムのクローンさん:01/11/02 11:47
優良スレへの発展を期待して、age。

60 :ポスドクA:01/11/02 12:27
あれれ、だんだん抽象論になってきましたね。
>助教授
生物をケミカルなロジックマシーンとして捉えて、
そのロジックを分子・組織・個体レベルで明らかにしていくやり方は、
実に多くの成果を出していますし、
別段具体的な限界が見えているようには思えません。
(っていうか、それ以外に自然科学として成り立つ理解の方法はあるのでしょうか?)
ただ、いろんなアプローチがある方が良いという点は同意します。

ここは、あまり機械論とか非機械論とか定義せずに、
具体的なアプローチの提案を出し合いませんか?

61 :29:01/11/02 12:28
楽しく拝見しています。遅スレですが、>>30 の指摘には
納得させられました。矢張り実験してみないと分からな
い物ですネ。ただ、議題に上がっているトックリバチの
場合、ハエ(ショウジョウバエですか?)より高度なこ
とをしているように思えるのですが、どうですか?それ
ならば単純な >>29 の方法でも、目的の遺伝子が取れる
かも。もちろん、一部(あるいは大多数)は、>>30 また
は、その後の議論で取り上げられた形質と物と重なると
思いますが。

>>55-58

さて、ここで言っている、機械論と、高度な神経活動による行動の
違いは何ですか?高度な神経活動を可能にする脳も、一種の
機械だと思うのですが。

62 :29:01/11/02 12:56
>>53
いま、HP を観てきました。これによると、幼虫は親が
巣を作るのを見てないですね。ということは、矢張り
本能が巣作りを制御している、つまり、>>32 での意見に
相反する結論だと思うのですが、それでいいですか?

63 :47:01/11/02 13:38
>>61
>高度な神経活動を可能にする脳も、一種の
>機械だと思うのですが。
このことには誰も異議を唱えないでしょう。ただ、従来の機械論では
説明できないと助教授は感じているんじゃないかなぁ。
でも、まだここまで議論すべきじゃないですよね。

64 :助教授:01/11/02 17:41
おっと、機械論が予想外の反響を呼んでいるようですね。それほ
ど深い意味で使ったのではないのですが・・・。ここらで、49さんと
かを参考にして、ちょっとまとめてみましょう。

1-トックリバチのゲノム上には数千から数万の遺伝子があり、それ
らは親から子へ代々受け継がれている。

2-これらの遺伝子が空間時間的に制御されて発現することにより
固体発生が起こる。このとき当然脳神経系も構築される。

3-(まわりくどい言い方ですが)脳神経系の指示で、また外部環
境の刺激を受けてハチは活動を行う。機械的に言うと、光や温度
などの外部“入力”に対して、ある特定の行動を“出力”するという
ことになるのでしょうか。


4-トックリ作りはビジュアルに面白いのでクローズアップされてい
るが、突き詰めれば3の行動の中の一つである。

さてさて、神崎先生の研究対象や、あるいは>>56>>57>>60
>>61のみなさんの指摘はおそらく上の3、4に対するものだと思う
のです。昆虫の行動が、“機械的”に上手く説明できるのは私も異
論はありません。

一方、私自身がここで問題にしたいのは、3、4の行動が1までさか
のぼってゲノム上にプログラムされている(らしい)ということなんです。
>>53のHP(トックリバチの生態が上手くまとめられている)をみてい
るとどうしてもそう思えてならないんです。ゲノムと行動が対象で、しか
も間に発生がはさまっているのですから、これは限りなく大がかりな
テーマです。これは単純な機械のアナロジーでは歯が立たないだろ
うと、そういうことが言いたかったんです。

感覚的なんですが、私は、このテーマの手がかりは意外にも2の発生
にあるのではないかと思うのです。昆虫は非常に面白い発生をします
よね。変態とか。その最中に脳はどうなっているんでしょう?

65 :助教授:01/11/02 17:43
64の続き
一方、私自身がここで問題にしたいのは、3、4の行動が1までさか
のぼってゲノム上にプログラムされている(らしい)ということなんです。
>>53のHP(トックリバチの生態が上手くまとめられている)をみてい
るとどうしてもそう思えてならないんです。ゲノムと行動が対象で、しか
も間に発生がはさまっているのですから、これは限りなく大がかりな
テーマです。これは単純な機械のアナロジーでは歯が立たないだろ
うと、そういうことが言いたかったんです。

感覚的なんですが、私は、このテーマの手がかりは意外にも2の発生
にあるのではないかと思うのです。昆虫は非常に面白い発生をします
よね。変態とか。その最中に脳はどうなっているんでしょう?

66 :助教授:01/11/02 19:10
64,65は納得いただけましたでしょうか?実験データを積み重ねることなく
ここで議論を重ねても、大した結果にはならないというのは十分承知してい
ますが、このテーマにどのようにアプローチするか、いわば“作業仮説”を
いろいろ考えてみるのはそれなりに意味のあることだと思っています。その
時に、トックリバチという非常にシンプルな系をモデルにすれば議論も明快
になるだろうというのが基のアイデアです。

67 :ポスドクA:01/11/02 21:04
正直言って、「機械論」って言葉を感覚的に使いまわしているように見えます。
機械的じゃないものの特徴もわからないし(少なくとも私には)、
そもそもここでの「機械」の定義も良く分かりません。
単に「機械」って言葉が嫌いなだけでは?

繰り返しになりますが、
具体的なアプローチについて話をしませんか?
抽象論を繰り返しても、レスは増えますが、中身は薄まるだけです。

で、で、で、
トックリ蜂の神経回路の発生にどう切り込みますか?
「機械」とか使わないで具体的に説明してください。

68 :42:01/11/02 21:09
>>61
ハエなんかも観察してみると非常に行動は多彩ですよ。少なくともトックリバチと
比較しても劣るとは思えません。昆虫なら昆虫というように限れば似たり寄ったり
かとおもいます。ヒトとトックリバチとなるとややこしくなりますが(笑)

>>55
まず煽りじゃないことを先に書かせていただきます。正直失笑してしまいました。
言いたいことは非常に理解できるのですがこれを機械論という言葉使って説明す
るのはいささか困難且つ陳腐と思います。文芸誌に投稿するにっぽんの哲学者な
んかはこういった言葉非常に好きですが。なお>>64>>65を読む限りは、機械論、
つまり現状の生物学の延長のようですのであえて機械論のような言葉持ち出す必
要性は全くないかと存じますがいかがでしょうか?
(続きます)

69 :名無しさん:01/11/02 21:14
>>65

完全な素人なんですが口をはさんでしまいます。申し訳ありません。

どのような理由で、機械のアナロジーでは歯が立たないだろうと、論理展開
されたのかついていけませんでした。具体論をあげて頂けると助かります。

トックリバチの場合は、「遺伝的プログラム」というより、「遺伝的回路図」
なのではないでしょうか?犬や人間の脳がプログラムの余地(無駄な回路)を
残したコンピュータだとしたら、トックリハチの脳はやはり専用回路なのだと
思います。

70 :助教授:01/11/02 21:39
>>69さん
それは発生のせいです。脳神経に限らず生物は発生によって“できあが
り”ますよね。一方、機械は言うまでも無く発生しません。できあがっ
たもの機能、つまり、成虫の脳の機能は、神崎先生とかがやられている
ように機械との比較も可能なわけですが、トックリのようにその発生
過程も問題となる場合には、単純に機械になぞらえて比較できないの
ではないでしょうか。

…確かにこれは“機械論”とはちょっとちがいますね。ポスドクAさん
と42さんの提言も受け入れて機械論談義はここまでとしましょう。
もちろん今後も、“機械的な”みたいな言葉は出てくると思いますが、
それは単に“機械的な”という単純な意味で、機械論ではないことを
承知してください。

71 :42:01/11/02 21:50
本題に入りますが、なかなか解決が難しそうな問題へ入りそうですね。
というのも遺伝子は限定することができるが行動というのは限定する
ことがひじょうに困難なものですから。例えばトックリバチの巣づく
りといったものをとって見ても場所見つけて土とってきて唾液と混ぜ
てとっくりを作る、わけでして恐らく脳(insectだからCNSの方が適
切か)の領域を総動員した結果のものと解釈するのが妥当でしょう。
というわけで仮にハエのようにmutantを作出する技術とそれに見合う
系統数そろえても目的でもある巣づくり異常のmutantは、恐らく得ら
れないと思います。端的にいえば巣づくりと単一、もしくは現実的に
検証できる位の有限数の遺伝子を繋げる作業は不可能かと。
後半に書かれるような発生との連関は非常に納得(というより当たり前
なんだけど)しました。現実問題としてとらえるとノックアウトなんか
よりもモザイクなんかの技術で特定領域のニューロンを特定の不活化
(笑)させる方が適切のような気がしてきました。(その為にはやは
りmutantの数必要か?)

なお私自身書いておいてなんですが機械論うんぬんはとりあえずstopしま
しょうや、ズレてきそうだ(WWW)>ALL

72 :32=49:01/11/02 22:02
>62さん

確かに幼虫は親バチがとっくりをつくるプロセスは見ておりません。
ですが、その内部で卵から孵化し、成虫になるまでを巣のなかで
過ごすわけですから、巣の形状、大きさ、材質、材料、立地場所
(振動、風に対するレスポンス、湿度、温度、日当たり)などは
自分が生まれてからでもモニターして学習可能です。またたとえ幼虫の
目が見えなくても、触角味覚嗅覚がすぐれているはずなので、
巣が唾液と泥でできていることはわかると思うのです。

だからたとえば、
(1)別の種類のトックリバチの巣(形状が異なる)に卵の
段階で置き換える
(2)突拍子もない色の巣(蛍光色の泥とか)を使わせて、
コバチが将来どんな泥を選ぶかみる
(3)プラスチックの代用巣などで孵化させて、行動をみる

など、「学習」を前提とした実験を十分行うのが、良いと思
います。遺伝子のクローニングをはじめるのは、そのあとで
いいんじゃないですか?(というか表現形がとれないんじゃ
ないかな)

73 :ポスドクA(実は38):01/11/02 22:27
>>42
「行動というのは限定することがひじょうに困難なものですから。」
なるほど、そんな気もします。
しかし、「トックリ蜂の右の触覚を触ったら、左前肢を前に出す」という風に
行動を出来るだけ要素に分けていくことはある程度可能ですよね?
私の意見は、まず、ファーブルのように観察ありき。
そして、行動の要素化。
例えば、学習に関する72(32=39)さんのような提案は大賛成です。

ただ、私は素人なので、
他の、中枢神経を持つ生き物の(マウスなど!)の
遺伝子と行動の研究に関して、
ご存知の方の意見を聞きたいです。

すなわち、
「個体の行動はどの程度要素に分解できているのか?」
「遺伝子との対応づけは、どの程度成功しているのか?」
もう少し階層を行動に近づけると
「神経回路の形成と行動の関連に成功している例はあるのか?」
です。
以上、ご存知の方いらっしゃったら教えてください。

74 :助教授:01/11/02 22:52
それじゃさっそくアプローチをしてみましょう。まずは、これまでに皆さんから寄せ
られたレスを参考にトックリ作りを3段階に分けて、多分に想像を交えてまとめて
みました。大いに批判してください。


[行動レベル] 飛ぶ、(土を)探す、運ぶ、唾液を混ぜる、顎で押すなどの基本
動作を巧みに組み合わせ、また繰り返すことにより“トックリ作り”という複雑な
作業をおこなう。各動作はさらに細かい動作の組み合わせで出来ているかも知
れない。この動作の最小単位をここでは動作ユニットとよぶ(もし専門用語があ
ったら教えて下さい)

[脳神経レベル] 各動作ユニットに対応するニューロンネットワークが存在する。
また、各動作ユニットを組み合わせて意味のある行動(この場合はトックリ作り)
にするための、より上位のニューロンネットワークもある。

[ゲノムレベル] 脳神経の発生そして機能に必要な全ての蛋白を遺伝子として
もつ。各遺伝子の発現を調節する部位もある。ただし、言うまでもなく各遺伝子
が直接対応しているのは蛋白レベルまで。ニューロンネットワークの材料(蛋白)
は提供するが、おそらくネットワーク(これはある意味抽象概念ですね)にダイレ
クトに対応する遺伝子というものはない。


ざっとこんな感じですが、[行動レベル]は皆さんのレスを大いに参考にしました。
[脳神経レベル]は勝手に考えて書きましたので大いに議論があるところかと思
います。どなたか、この部分をもっと専門的に書いてもらえませんでしょうか?
[ゲノムレベル]はいまさらですが、あえて書きました。

こうしてみると、[行動レベル]と[脳神経レベル]の関係というのは、かなり研究
が進んでいるようなのですが、一方[脳神経レベル]と[ゲノムレベル]の関係は
全くと言っていいほどわかっていませんね。

ウム・・・

75 :69:01/11/02 22:53
>>70

早速の回答ありがとうございます。

発生とは呼ばなくても、回路図に基づいて組み立てる過程があるので
変わらないと思います。ちなみに、機械も、人に必要とされるという
環境のもとで、個体数を増やし、改良(進化)を重ねていくという点で
全く同等だと考えています。潜水艦のソナーもイルカのそれも同じよ
うな解に収斂しているのも本質的に同じことをやっているからではな
いでしょうか?

すみません、このスレの主題とは違う話題に深入りしたようですので、
ここら辺で引き上げたいと思います。お邪魔しました。

76 :助教授:01/11/02 23:02
74のレスは71-73を見ずに書いていました。あしからず。

77 :助教授:01/11/02 23:25
74は、つまり作業仮説を作ってみようという試みです。

78 :助教授:01/11/02 23:45
>>75さん
個体発生と系統発生がごっちゃになってますね。

コメントの中に面白い表現も見つけました。回路図(これはここでは設計図と
同じモノと考えますが)とおっしゃいましたが、ゲノムもよく設計図に例え
られます(マスコミが好んで使うようですが)。機械の設計図(回路図)は、
その機械の全体とか部品を上手くビジュアルに表現してますよね。設計図を
みるとその機械のことが良くわかります。ところがゲノムの場合、設計図なんて
言われている割には、ぱっと見、どこがどうなっているのかさっぱり解らん
のです。

だから研究の対象になるのですが…

79 :助教授:01/11/03 00:03
>>71さん

>端的にいえば巣づくりと単一、もしくは現実的に
>検証できる位の有限数の遺伝子を繋げる作業は不可能かと。

全く同感です。恐らくこのテーマの最終ゴールは遺伝子じゃないですよね。
遺伝子(群)あるいはその総体のゲノムがどのように行動をプログラミング
しているかという機構を明らかにすることだと思います。当然それを担って
いる代表が遺伝子なのですが、おそらく関与しているのは膨大な数です。
1個2個クローニングしてどうなるもんじゃないでしょう。

80 :69:01/11/03 00:16
>>78
>>ところがゲノムの場合、設計図なんて言われている割には、ぱっと見、どこが
>>どうなっているのかさっぱり解らんのです。

それは、そのデータを見るためのソフトがまだ無いから、というだけの話ではな
いでしょうか?もちろん、だからこそ、現在研究の対象になっているのでしょうが。

>>機械の設計図(回路図)は,その機械の全体とか部品を上手くビジュアルに表
>>現してますよね。設計図をみるとその機械のことが良くわかります。

たとえば、ハードデスクに記録されたCADデータを直接見ても、ヒトのビジュアル
感覚に訴えるものはなく、理解できる人間も少ないのではないでしょうか?

本質的な違いではないように思えます。

81 :助教授:01/11/03 01:17
>>80さん
おっしゃることは良くわかります。ゲノムがハードディスク上の
バイナリ−コード(つまり“01000010001111”)だとするとハチ
(表現型)はモニターに現れるCADの映像ということになるので
しょうか。

そうすると今私たちがやろうとしていることは、例えればバイナリ−
コードとモニター上の映像を手がかりに、CADシステムの
ソフトウェアを明らかにするということでしょうか?

一瞬なるほどと思ったのですが、これは既に今のゲノム研究のテーマの
ひとつですよね。

82 :69:01/11/03 01:28
>>81
>>(表現型)はモニターに現れるCADの映像ということになるのでしょうか。
表現型は、やはり組み立てあがった装置なのだと思います。

>>これは既に今のゲノム研究のテーマのひとつですよね。
はい、そうなのではないかと想像しています。

ただ、いずれにせよ、関係のない話につきあわせてしまって申し訳ありません。
この件に関しては、またいつかご意見を伺えればと思います。ありがとうございました。

83 :15:01/11/03 03:04
よくある還元主義論議にはちょっと食傷気味なので黙ってた。

んでさ、>>29の遺伝的アプローチと>>30の反論に戻るんだが、俺は変異体作りは
大いに有効だと思うんだよね。但しそれは遺伝子の機能を明らかになれば問題が
解明されると思うのではなく、>>74でいうところの動作ユニットがわかると期待
できるから。行動のアルゴリズムが詳細にわかれば、そのひとつひとつは脳神経
レベルっつーか生理学で扱える範囲だと思う。ちょっと楽観かもしれないが。
それにハエの場合と違って曲がりなりにもトックリを作る個体の中から変異体を
拾ってくるのだから、そんなにしょーもない変異ばかりとれてくる危険性は高く
ないと思う。

書いてたらクボちん思い出したヨ。あそこはうまくいってるのかねえ?

84 :名無しゲノムのクローンさん:01/11/03 03:13
ねぇねぇ、トックリハチのゲノムの中で脳神経系の形質に関わって
いる遺伝子だけを標識することはできるのかなぁ。

85 :29:01/11/03 07:48
 少し本題からずれますが、何処まで本能(遺伝しプログラム)で
トックリづくりを行っているか考える必要があると思うので書き込
みます。

>>72
 確かに、トックリの大きさ、材料、作る場所等を後に学習する事は
出来ます。ただ、どうすれば良いトックリができるか:ぬれた泥より
乾いた泥の方がいいとか、どのような順序でトックリを作のが効率が
良いとかは、出来たトックリだけをみても分かりません。個人的には、
「学習」という動作の方がトックリ作りよりもよっぽど複雑のように
思えます。孫引きで申し訳ないですが、京大の日高教授が講義の中で
「鳥にも2種類あって、飛び方を本能で知ってるものと、親から学習
するものがある。」と言っていました。トックリバチの場合、前者の
様に思います。これを証明するのは、おっしゃるように簡単な実験で
す。ゲノム解析より先にしておくべき仕事ですね。例えば、トックリ
の首の部分を切り取っておくとその中で育った幼虫は生来どんなトッ
クリを作るかとか。

86 :29:01/11/03 08:32
>>74
>ニューロンネットワークの材料(蛋白)
>は提供するが、おそらくネットワーク(これはある意味抽象概念ですね)にダイレ
>クトに対応する遺伝子というものはない。
 これは、私は賛成しかねます。発生の段階で、化学物質の濃度勾配が関与
している事は、すでに明らかにされていますネ。例えば、発声の段階で幾つ
かのニューロンネットワークが作成されると思うのですが、神経繊維が伸び
る時、ある種の化学物質を目指して伸びていく事が考えられます。この化学
物質(何種類あるか知りませんが)の代謝に関係する酵素の遺伝子、或いは、
その化学物質自身が蛋白質の場合、その遺伝子等は、ネットワーク作成に対
応した遺伝子といえます。

 さて、トックリ作りですが、次の順番で行われると考えていいですか?
1. 巣作りに適した場所を決定する。
2. 足場を作る。
3. 足場を基点にして、球形の巣を作る。
4. 首の部分を作る。
5. 卵を産み付ける。
6. 餌を運び入れる。
7. ふたをする。

これで考えると、4 や、7 を行わない変異型が取れそうな気がするのですが。

87 :徐教授:01/11/03 13:04
遅レスですが、これまでのコメント、アイディアにまとめてレスしたいと
思います。

>>71さん 特定領域のニューロンを不活化するという手法はかなり使える
のではないかと思うのですが、トックリの場合、モザイクをどのように使
うのか、もう少し詳しく説明してただけませんでしょうか?とても興味が
あります。

>>72さん トックリ作りは遺伝的プログラムという前提で話が進んでいま
すが、あなたの言わんとするところはみんな理解していると思います。と
りあえず、遺伝的プログラム説と学習説を同時に走らせるというのはどう
でしょう?このハチの生態は過去に昆虫学者が詳しく調べていますので、
それをあたれば、何かヒントが出てくるかもしれませんね。私自身は、遺
伝的プログラム説を軸に話を進めます。

>>73さん
いずれもとても重要な問いかけです。
>「個体の行動はどの程度要素に分解できているのか?」
これに関しては既に何回か出てきていますよね。非常に重要な概念だと思
います。74で、私は“動作ユニット”などと読んでいるのですが、専門的
にはなんというのでしょう?かなり研究が進んでいる分野だとおもうので
すが…。どなたか知りませんか?

>「神経回路の形成と行動の関連に成功している例はあるのか?」
これはそれこそ神崎先生がたの分野だとおもうのですが、具体例を知りた
いですね。

88 :除教授:01/11/03 13:49
>>83さん
>>29のアプローチというのは実際には相当な仕事量になるでしょう。
昔、ホメオボックスの理論をショウジョウバエの突然変異観察から作
り上げたEルイスの手法を想像させますね。ルイスは、10年で論文2,
3報しか書かなかったって学生時代に聞いたことがあるんですけど、そ
れもそのはず彼のデータはXXX突然変異の出現確率3/100000とか
いうのばっかりなんです。つまりテーブルの中の一つのデータを取るのに
もハエを100000匹も観察しているんです。最終的にそのホメオボック
ス理論の論文(確かサイエンス)1本でノーベル賞まで取ったんだから、
まあ、報われた研究人生ですよね。ちなみに、その遺伝子をクローニ
ングしてホメオボックス理論を実証したゲーリングにはノーベル賞はいか
なかったんです。(遠い目)  体の“くびれ”の研究ですら1研究者が
人生をかけたんですから、トックリは3世代くらいはかかりますね(藁

話がそれましたが、実験手法として、突然変異の解析とモザイク
>>71)っていうのがでてきてますが、それぞれもう少し具体化したい
ですね。“しょーもない変異ばかりとれてくる危険性”はやはりあると思
います(>>30>>31)。この危険性についてもじっくり検討しなければ
なりませんね。

89 :除教授:01/11/03 14:00
>>84 そんな技術があればこのテーマにうってつけですね。常識はずれ
でもいいですから、どんなことができるのか考えてみませんか?

>>85 遺伝プログラム説-学習説議論はこのテーマの根幹をなすものです。
ただ、今ひとつ議論が深まっていないですね。とりあえず、このハチ
の生態を解説したHPを訪れてみるのはいかがでしょう?

90 :除教授:01/11/03 14:19
>>86さん
うーん表現のしかたが難しいのですが、例えばXX受容体欠損の個体に
XX受容体遺伝子を導入できれば表現型はノーマルに復帰しますよね。
つまりXX受容体遺伝子がその受容体分子に対応(コード)していた
からです。では、ある動作を行うに必要なニューロンネットワークが
欠損している場合、何らかの遺伝子(つまりはその蛋白)を導入して
そのネットワークを復活させることができるでしょうか。私は、
これは無理と考えています。

ですから、例にあげられた化学物質をコードする遺伝子はニューロン
ネットワーク作りには関与しますが、(ある特定の)ニューロンネット
ワークに対応したものではないということになります。
解っていただけますでしょうか?

トックリ作りの手順をまとめて頂いてありがとうございます。話を
進めていく上で、いい材料になりますね。

91 :名無しゲノムのクローンさん:01/11/03 15:25
面白いです。

>ニューロンネットワークの材料(蛋白)
>は提供するが、おそらくネットワーク(これはある意味抽象概念ですね)
>にダイレクトに対応する遺伝子というものはない。

に横槍を入れさせてください。

ある行動を支配している(と言ってよい規模の)ネットワークの構築を一手に
引き受けている単一の遺伝子(あるいはその産物)がある訳でないのは当然だ
と思いますが、ゲノムの総体がネットワークも含めた個体を作り出せる以上、
ネットワークに対応する遺伝子(群)が存在するというのは自明、というか同
義反復に近いことなのではないでしょうか。ゲノムの全遺伝子が何らかの形で
寄与していると言う主張は極端だとしても、限られた数の遺伝子がそのネット
ワークを構築しているのであれば、その数が、数個、数十、数百、数千のいず
れのオーダーであるかは問題ではないと思われます。

92 :47:01/11/03 15:48
たぶん、ゲノム→ニューロンネットワーク→行動
という流れがあって、中間のニューロンネットワーク自体が分からない
とゲノムにはいけないのではないかと思うのですね。

で、行動中はニューロンネットワークは活動するが、その間、ゲノムは
神経伝達物質の生成という形で関与はするだろうが、ネットワーク自体の
構造にまでは関与しない(学習では異なりますが)。つまり、ゲノムは
行動中は活動せず、発生において形成されるネットワークの構造を決めて
いるんだろう。で、ゲノム→ネットワークの考察はこれくらいにしておいて、

ハチが巣作りを開始するのは何が決めているんだろう?と考えると、
それはホルモン系か外部の刺激だろう。それを見分ける方法が白色球体
中で卵から飼ってみて巣を作るかどうか。ここで研究方向が二つに分かれ、
この条件で巣を作れるならホルモン系、作れないなら外部刺激。
仮に外部の刺激だったとした場合、まず巣を作る場所はどうやって
決めるのか、から始まって巣作りのさまざまな段階の行動を開始させる
刺激と行動を詳細に記述する。神経系を電気刺激してみてどのような
行動が起こすかを見、その詳細に分析した行動と比較しながら神経系の
活動シーケンスを確定する。また、外界刺激と行動との関係を確認する。
それから、神経系の各要素を決定している遺伝子を決めていく。という
シナリオは如何?

93 :名無しゲノムのクローンさん:01/11/03 16:30
ドーキンスの「利己的な遺伝子」に引用されていた例ですが、ミツ
バチの衛生行動に関する遺伝学的な解析があるそうです。ミツバチ
の蛆には腐蛆病という細菌性の感染症があるそうなのですが、ある
系統(系統Aとします)は病気にかかった幼虫を見つけて、巣室の
ろうの蓋を外し、幼虫を巣室から引っ張り出し、巣の出入り口から
引きずり出し、ごみ捨て場に捨てるという一連の行動を持ち、他の
系統(系統B)はその行動を持ちません(トックリ作りほどでなく
ともかなり複雑な行動だと思います)。この2つの系統を掛け合わ
せた雑種は、全てがこの行動を取らず、この雑種を系統Aに戻し交
配すると、子孫は4つのグループに分かれました。
グループ1:系統A同様、正常な衛生行動を示した。
グループ2:系統B同様、衛生行動を示さなかった。
グループ3:巣室のろうの蓋を外すが、幼虫を捨てることはなかった。
グループ4:人為的に蓋を外してやると、幼虫を捨てた。
もちろん、ミツバチでは原因遺伝子の単離は夢物語ですが、この例
は生化学的実体や神経ネットワークを全てブラックボックスに入れ
て、「蓋を取る行動に対応する遺伝子」、「幼虫を捨てる行動に対
応する遺伝子」と言ってよいのではないでしょうか。

94 :名無しゲノムのクローンさん:01/11/03 16:34
93です。余分なことかもしれませんが、この2つの遺伝子は劣性だっ
たことになります。書き忘れたので追加です。

95 :除教授:01/11/04 17:20
>>91さん
いわゆる還元論の考え方ですよね。私も基本的には同じように考えますが、その
一方で、柴谷先生のようにかなり異なった考え方もあるようです。私の頭では、
ちっとも理解できませんが…。


>>91さん、>>93さん
「特定のニューロンネットワークに対応した遺伝子」(私が言ったのですが)
というとき、おそらくは、この「対応」という言葉がくせものなんですね。もう
少し、的確な言い方があったかと思います。ニューロンネットワークを構成する遺
伝子(産物)とか、あるいはその発生に必要な遺伝子とか、あるいはその機能に
必要な遺伝子とか…

感覚的な言い方で申し訳ないのですが、この領域の議論というのは、気をつけない
とすぐに抽象的な議論の迷路にはまりこんでしまうような気がするのです。ですの
で、使う言葉の定義など結構大切だと思うのですが…ここたらでいったんまとめま
しょうか。

96 :除教授:01/11/04 17:37
>>92さん
前半部分、第二パラグラフまでは大いに同意するのですが、最後の
パラグラフではネットワークと行動の関係にしぼって実験方法を
考えていますよね。すると最後に出てくる「それから、神経系の
各要素を決定している遺伝子を決めていく。」というくだりが、
かなり唐突に聞こえるのですけど…。むしろ、このあたりの手法
をじっくり時間をかけて議論したいのですが…

97 :名無しゲノムのクローンさん:01/11/04 22:12
あのー、助教授、徐教授、除教授さんはみな同じ人ですか?
なんか、少しずつお考えが違うような気がするのですが。

98 :除教授:01/11/05 05:10
>>97さん
はい同じです。おっしゃるとおり言ってることは多少ぶれているかも
しれません。…というか、はじめっから確固たる考えはありません。
あしからず。…

99 :除教授:01/11/05 18:44
このスレも最近落ち込んできましたね。手詰まりになっているのでし
ょうか?もしかしたら、そもそも参加しているのは3、4人かもしれま
せん。

ここらでまとめてみましょう。>>72とか>>92でも述べられていますが、
トックリ作りという対象を3段のレベルに分けるのは、今のところこの
問題を捉える手助けになりそうです。その3レベルというのは、つまり
ゲノム、ニューロンネットワーク、行動です。流れを付けると以下のよ
うになりますね。一見単純なようですが、実は結構厄介です。何しろ、
ゲノムの本質は遺伝情報です。一方、ニューロンネットワークはおび
ただしい数の細胞の有機的集合体、そして、行動(トックリ作り)と、
それぞれ全く異なる質のものの関係を見出そうとするのがこのテー
マの目的です。

       ゲノム→ニューロンネットワーク→行動

上のフローから、“トックリ作りの遺伝的プログラム”というメインテーマ
が少なくとも2つのサブテーマに分割されることがわかります。つまり、
ハチのゲノムとニューロンネットワークの関係、そして、ニューロンネッ
トワークと行動の関係です。(続く)

100 :除教授:01/11/05 18:46
つづき
1.ゲノムとニューロンネットワークの関係
ゲノムの情報から、いかにニューロンネットワークが作られるかという
発生学の問題です。この分野の最先端はどんな状況なのかフォロー
していないのですが、まだ大まかな図というのは描けていないのでは
ないでしょうか。それどころか、いまだきっかけすら掴めていないように
思えます。一方、柴谷先生とか養老先生とか哲学者も興味ある分野
らしく、そちらの方面からも論文(エッセー?)などがかなり出ています。
一歩間違うと禅問答の無限ループに落ち込んでしまうとても怖い分野
だと私は感じています。ゲノムの解読も進んでいますし、神経細胞の
知見も既に膨大なものと思うのですが、なぜか非常につかみ所のない
領域です。逆にブレークスルーを狙う野心的な研究者にはうってつけな
のかも知れません。

2.ニューロンネットワークと行動の関係
一方、こちらの方は、既出の神埼先生のインタビューなんか読むと良く
わかるのですが、着実に成果が出ている分野ではないでしょうか。既
に出ている研究成果を読まずして、憶測でものを言うのは良くないかも
しれません。このスレでは、(昆虫の)行動は、一見複雑に見えても実
は単純な動作の組み合わせではないかとする説が、大した反論もなく
結構受け入れられているのですが、もしや、既にそういう報告もあるの
かも知れません。

101 :除教授:01/11/05 18:47
つづき(更に)
3.ゲノムと行動の関係
これまで、議論されてきませんでしたが、これもアリだと思います。既に
発生が終了した成体の脳において、何らかの遺伝子発現が行動を引き
起こしたり、抑制したりする場合です。もちろんその遺伝子発現には、
また何らかのシグナルが必要なわけですから、考え方は簡単ではあり
ません。どちらかというとここは後回しにしたいのですが…。

非常に大雑把で、感覚的に書いてしまい申し訳ありません。ご批判大
いに受け付けます。私としては、やはり未開拓分野である1のゲノムと
ニューロンネットワークの関係に興味があります。具体的な実験の方法
論など議論したら面白いと思うのですが皆さん如何でしょう??

102 :ポスドクA:01/11/05 21:11
遅いレスですみません。

「ゲノム」「ニューロンネットワーク」「行動」
の「ネットワーク」に関して
「こんなのあったら良いな」の提案です。

@:色素がなく頭部の内部構造が透けて見える変異トックリ蜂
A:同じ神経細胞をラベルする方法

理由は以下の通り

現在の神崎先生らの研究ですら、
1: 行動と対応していることが同定されている神経細胞は、
中枢神経から各筋肉に伸びている運動神経であって、
その上部ネットワークを形成しているの中枢神経は同定されていない(多分)。

2:各個体間で、どの程度ネットワークが共通で、
どの程度個体差があるのかも明らかでない。

からです。
線虫はともかく、昆虫レベルまでいくと、
各個体で同じ神経細胞を探し出すのは不可能みたいです。

だから、各個体で場当たり的に針を刺してその電位を計測していますが、
別の個体を用いて同じ神経に針を刺すことは出来てないみたいです。
(この辺り、詳しい方がいたら間違いを指摘してください)

結局、各神経の発生を明らかにしないと、
ネットワークのざっぱな性質が分かるだけで、遺伝子との対応は難しいと思います。

ここの部分の技術的ブレークスルーが必要だと思います。
で、上のないものねだりをしました。

103 :47:01/11/05 21:27
本来その辺の問題をクリアするために考えられたのがショウジョウバエだった
のですけどね。ところがショウジョウバエは能なしで・・・と考えた時、はたと
ひらめいたのが彼らの交尾行動。行動の対象をトックリバチの巣作りはやめて、
ショウジョウバエの交尾行動に変更したらかなり楽になりますよ。あれだけ
各研究室で交配に次ぐ交配を重ねられたらさすがに神経系の個体差も
あまりないでしょうし・・・

104 :42:01/11/05 23:53
>>103
それは、もうやられていますね。<ハエの交尾行動
Bruce Bakerの所が有名かと。

105 :47:01/11/06 00:01
>>104
どういう結果になっていますか? つまり、
ゲノム→ニューロンネットワーク→行動
のテンプレートで行くと、どういう具合に説明されていますか?

106 :42:01/11/06 01:32
>>105
クローニングされたのが5年くらい前でしたね。その後のペーパー追って
ないもんで詳細は、ちょっとご勘弁を。ただ交尾行動異常のこの変異体の
解析結果ではtranscription facterでしたね。こいつが制御している遺
伝子に神経系で働くタンパクあるかどうかは、わかりかねます。一般的な
速度考えると
>ゲノム→ニューロンネットワーク→行動
を説明するに足る結果は未だ得られていないものかと。

107 :42:01/11/06 02:14
>>106
もちろんfacter(誤)→factor(正)

恥ずかしい・・・・・

108 :47:01/11/06 02:23
>>106
なるほど。やはり交尾行動の異常を示す変異を起こさせたか、その
変異体を見つけて遺伝子解析しているのですね。転写因子ねー。
すごく非特異的だなー。なんか、ものすごくいろんな異常を起こして
いて、その多くの異常の中に交尾の異常を起こさせるような異常成分「も」
含まれていたという感じじゃないのかなぁ。
交尾行動と一言で言っても、いろんな行動成分がありますよね。雌を
見つけ(フェロモンとか言われるけど、あんな狭い牛乳瓶の中でも
たくさんのペアがちゃんと交尾できてるのはほんとにフェロモンが
関与しているのかな。やっぱり視覚じゃないかなぁ。雌は雄と違って
尾部が黒くないしね。モンシロチョウのような要因もあるのかも
知れないし)、前肢で雌の背中に捕まり、中後肢で雌の脇腹を抱え、
腹部を腹側に折り曲げ、ペニスを取り出して先端を雌の性器にちゃんと
あてがって挿入し、たぶん精液を雌体内に送り込めるほどの射出力が
なければならない。このうちどれが欠けても交尾できない可能性があるし、
この行動はとても単一のニューロンネットワークの活動では説明できそうに
ないですよね・・・。上で述べたうちで、たとえば腹部を腹側に折り
曲げる行動によりショウジョウバエの体格から必然的に挿入できるように
なるという構造があるのであれば、多少はニューロンネットワークの
数を減らして考えることもできるんだけど。たぶんこういうことも
絡み合っていると思う。

109 :29:01/11/06 07:12
>>90
>では、ある動作を行うに必要なニューロンネットワークが
>欠損している場合、何らかの遺伝子(つまりはその蛋白)を導入して
>そのネットワークを復活させることができるでしょうか。私は、
>これは無理と考えています。
 ここの所がよく分からないのですが、ここでいう、「何らかの遺伝子」
をある欠損株に導入した場合、その個体では復活しませんが、この「何ら
かの遺伝子」を germ line に入れれば、次の子では復活しますよね。
それは、助教授さんがおっしゃっている、発生と関係した事です。発生が
終了した個体にいくら遺伝子を導入しても、野生型には戻りません。それ
は、発生が終了した段階ではその遺伝子の役割が終わっているからです。
 私自身、>>91 さんの意見に大賛成(というか、全く同じ意見)です。
私には、>>92 さんの最後の「遺伝子を決める」というのが唐突に感じら
れません。ニューロンネットワークの構築に必要な遺伝子はあるはずで
すが、助教授さんの議論の進め方はこのような遺伝子は存在しないという
前提の元で進められているような気がします。本当はそうではないと思う
のですが、詳しい説明お願いします。
 >>92 の実験の進め方、参考になりますね。私は遺伝子畑で育っている
ので、まず遺伝子から入ってしまいます。

110 :29:01/11/06 10:55
もう一つ。
>>93 の実験結果は非常に興味深いものがあります。このスレッドで
議論しているトックリバチの例の、プロトタイプの様な気がするからです。

質問1:このスレッドで議論しているロジックで >>93 を考えると
どのようになりますか?

質問2:>>93 の結果からトックリバチに対するアプローチを考え
なおすとどうなりますか?

111 :除教授:01/11/06 22:38
>>109
>私には、>>92 さんの最後の「遺伝子を決める」というのが唐突に感じら
>れません。ニューロンネットワークの構築に必要な遺伝子はあるはずで
>すが、助教授さんの議論の進め方はこのような遺伝子は存在しないという
>前提の元で進められているような気がします。本当はそうではないと思う
>のですが、詳しい説明お願いします。

確かに>>90では説明の仕方が良くないですね。もちろん私もニューロンネッ
トワークの構築に必要な遺伝子はあるはずと考えています。ただ、発生段階
に働くものも考慮したら、その遺伝子数は膨大なものになるだろうと想像して
います。例えば、体節を決定するホメオティック遺伝子は昆虫の場合8個です
が、これらはみんないわゆるマスターキー遺伝子(マスコミ言葉ですか?)と
いわれるものですよね。その下流にあって、実際の体節の構築に関与してい
る遺伝子は数千(だろう)という話を聞いたことがあります。トックリバチのニュ
ーロンネットワーク構築も同様に、幾つかのマスターキー遺伝子があって、そ
の下流ではさらに多くの、恐らくは数千とかの、遺伝子が関与していると私は
想像しているんです。

このとき、注意しなければならないのは、たとえ、下流に位置する遺伝子であ
ってもそれが他の遺伝子で代替できないものは、それが欠損すると表現径型
が変わってしまうということなんです。この場合は、トックリ作りが変化したり、
消失してしまうということです。でも、だからそれをトックリ作りの遺伝子と呼ん
でよいのでしょうか?同様の懸念が、>>30とか>>106>>108でも指摘され
ていると私はおもうのですが。

ではここで、逆に質問ですが、ある遺伝子の欠損により、トックリ作りが消失し
た場合を考えてください。その遺伝子を、トックリ作りを行わない近縁種のハチ
に導入した場合、そのハチはトックリ作りを行うようになるでしょうか? >>30
>>106>>108を考慮すると、これはかなり難しいと思うのですが、如何なもん
でしょう?

112 :名無しゲノムのクローンさん:01/11/07 00:18
「ナニナニのための遺伝子」というときに、111で主張されているように、そ
の遺伝子だけを別の文脈(生物)に導入したときにその行動を引き起こすか否かということで判断すると言うのは行き過ぎだと思います。例えば、必須アミ
ノ酸の生合成に必要な遺伝子を、一つだけその生合成経路を持たない生物に導
入するのがナンセンスなように。(この辺の議論は、ドーキンスがさんざん
やってますよね。遺伝子は何よりゲノムにおける他の遺伝子達とのチームワークで選択される。)
前に誰かが引用していた、ショウジョウバエの行動異常変異を取ったら多く
は視覚異常だったという話も、ある意味よくある話で、バクテリアで変異株を
取るときでも良く考えないとトリビアルなのが取れるでしょう。ハエの人たち
も、初期の失敗(視覚の遺伝学としては成功)に学んで、今では感覚は正常な
がら古典的条件付けが出来ない変異をうまく集めようとしています。
遺伝学的な解析でいつも問題になるのは、ある遺伝子を壊したらある現象が異
常になったからといって、その遺伝子がその行動のための遺伝子だと軽軽しく
言ってはいけないということだとは思うけど(ラジオのある部品を抜いたらハ
ウリングを起こしたからと言って、その部品の役割が「ハウリングを抑えるた
め」じゃない)、そもそも生物は誰かのデザインに基づいて作られてる訳じゃ
ないから、「ため」とか「ためじゃない」ってのも、それを見る側の解釈の問
題なんじゃ?結局、その遺伝子を持っている方が、持っていないより
(ちょっとだけ)多く子孫を残した(あるいは、残せる)ってことで、今ある
生物を見ると、「ため」の集まりとして解釈できる、と。

113 :29:01/11/07 08:04
>>111
>ではここで、……如何なもんでしょう?
 この質問に対する答えはすでに >>112 で出されているので割愛します。

>幾つかのマスターキー遺伝子があって、
 ここでいうマスターキー遺伝子を取りたいという方向でいいですね。
私は、これをとるにはまず変異型をとる以外に方法が無いと思います。
少なくとも現在可能な実験手法を用いる限りは。それで、大事なのは
スクリーニングの方法だと思うんですね。

「ハエの人たちも、初期の失敗(視覚の遺伝学としては成功)に学ん
で、今では感覚は正常ながら古典的条件付けが出来ない変異をうまく
集めようとしています。」(>>112)

 これが、遠回りのように見えて一番近道じゃないかと思うんです。
で、どのようなスクリーニングをしたら目的の遺伝子の変異型が含
まれている確率が高いかというのが一つの議論になると思います。

114 :29:01/11/07 08:14
 もう一つの取り組み方は、トックリバチに幾つか種・亜種があるよう
ですが、それらの種間雑種は可能ですか?もちろん、一代限りで構い
ません。オスの精巣から精子を取り出して注射器等でメスにいれるの
も可ですし、出来た雑種は不妊でも構いません。この雑種が作るトッ
クリに形状の違いがあれば、ゲノム解析で何か分かるかもしれません。
いずれにせよ、形質の変化を先に捉える事が必要のような気がします。

115 :42:01/11/07 17:48
(閑題)
除、助、徐さん同一だったか、そうでないとしたら少し感じ悪い印象受けたもんで
様子見していた(W)
不思議なもんで新しいテーマ考えるとき手法が煮詰まってくるととたんに鬱入るん
だよな。同様にトックリバチの問題考えるときもスクリーニングうんぬんになると
軽いながらも鬱入ってしまう。参加人数の減少なんかもその辺のことあるんだろう
な・・・・
以上あくまでも「閑」ってことで、なお除さんが助ってわかったのでモザイクうん
ぬんは後程書かせていただきます。(WW)

116 :ポスドクA:01/11/07 18:08
>>29さん
113にかんして質問です。
「マスターキー遺伝子」かどうかは、
どうやって見分けるのですか?
教えてください。

117 :除教授:01/11/07 18:31
>>115さん 混乱させてすみません。なんか“助”じゃヒネリがないなと
おもったもので。

やっぱり参加者減ってるんでしょうね。まだレス100ちょいですけど
1レスあたりの内容は異様に濃いですからね。タイトル読んで興味を
もった人でもそうそうついてこれないのかな。あるいは飽きられるか。

118 :名無しゲノムのクローンさん:01/11/07 19:53
貢献できることもないのでROMですが面白く読ませてもらってます。
どうぞ続けてください。

119 :除教授:01/11/08 03:22
>>93さん
(遅レスですが)非常に興味深い例を紹介して頂いてありがとうございます。
いろいろ考えたあげくちょっと混乱してしまったのですが、ミツバチって、
オスはたしか半数体ですよね。この場合、単純にメンデル形式の遺伝と捉えて
いいものなのでしょうか?

120 :29:01/11/08 06:35
>>116
>「マスターキー遺伝子」かどうかは、どうやって見分けるのですか?
 実験を始めて、結果を見るまでは分かりません。一つ言える事は、
マスターキー遺伝子の変異が引っかかってきそうな実験方法を選ぶ事
が解決方法だという事です。例えば、トックリの球形の部分を作り終
えたら、首の部分を作らずにいきなり卵を産み付け、餌を運び込んで
ふたをするという変異型があったとします。この場合、どんな遺伝子に
変異があると考えられるでしょうか?
「球形の部分を作る」=>「首の部分を作る」=>「卵を産み付ける」
この一連の作業を進行させる遺伝子のどれかに変異があるわけですよね。
マスターキー遺伝子以外の変異では説明できないとは言わないけれど、
変異型の中に、マスターキーの変異が含まれている可能性がずいぶん高い
のではないでしょうか?

121 :除教授:01/11/08 07:34
じつは>>112さん以来ハエのことを考えていたのですが、29さんの
方法に対しては、>>30とか>>106>>108のような、つまりその行動
とはあまり関係のなさそうな非特異的な遺伝子が取れてしまうこと
を懸念していたのですが、その一方で、ルイスのように同じハエの
変異を追いかけることにより、見事に目的の遺伝子群(ホメオティ
ック遺伝子)を捕らえた例もあります。

これらの違いがなにかと考えると、やはり「意味のある」変異を追
いかけるということだと思います。29さんが>>120で言われたこと
もそのことだと思うのですが…。

ホメオティック遺伝子の探索では、実は、羽の形が変わったとか、
足の長さが変わったとか、そんな変異は相手にしていないんです。
ルイスが追いかけたのは、平均棍が羽になった(つまり胸部第3節が
第2節になった)とか触覚が足になった(つまり、頭部が胸部になっ
た)というような、体節が、あたかも積み木を組み替えるように、
入れ替わった変異を追いかけています。

このあたりは>>120の後半で述べられていることと通じるところが、
ありますよね。やはり、行き着くところはトックリ作りを行動として
どのように捕らえるかが問題になるのですけど、そうすると、以前話
題になった、行動の最小単位、あるいは“動作ユニット”をもう少し
明らかにしたいですね。

122 :名無しゲノムのクローンさん:01/11/08 22:07
アプリオリに”動作ユニット”がどのようなものであるかを決めることには
無理があるように思います。ルイスの例も、多くの変異体を見るうちに、彼
なりの”ルール”の抽出があって、それがモデルとして次のスクリーニング
ストラテジーをガイドしたというのが実情なのではないでしょうか。
つまり、※異常のパターンを枚挙して、そこから逆に”動作ユニット”が浮
かび上がって来る→その”ユニット”からこぼれた部分をさらに”ユニット”
に分解できるようなスクリーニングをデザインする→※にもどる、というル
ープを廻してやることで正解ににじり寄る。

123 :名無しゲノムのクローンさん:01/11/08 22:21
ミツバチも基本的にはメンデル遺伝です。♂は半数体ですが、その
ことはここでの問題とは一応無関係です。93の実験は、あるコロニ
ーの♂と別のコロニーの女王蜂を掛け合わせることで行われました。
この衛生行動に関しては、コロニー毎に安定した形質なので、単一
コロニー内の全ての個体(♂♀問わず)は、”ための遺伝子”に関
してホモ(♂はヘミ)です。

124 :名無しゲノムのクローンさん:01/11/09 22:13
ある遺伝子(もしくはその産物)が、ある行動様式に特異的であるとか、い
やいや非特異的だけど影響があるだけだとか、その区別って単に程度の問題
に過ぎなくて、すなわち解釈する私達の感覚の問題なのではないでしょうか。
極端なことを言えば、ある遺伝子をノックアウトして、見かけ上は何も表現
型が観察されなかったとしても、NorthernでもWesternでもすればノックアウトした遺伝子産物の発現がなくなるという表現型が観察されるわけだし。
いや、これは冗談としても、解釈する側がトリビアルな影響と「マスター」
的影響を恣意的に規定せざるを得ないと言う側面はあるのではないでしょう
か。

125 :除教授:01/11/09 23:29
>>123のお答えありがとうございました。それでは,ちょっと
遅くなりましたが>>93のミツバチの問題チャレンジしてみま
しょうか?まずは、純粋に遺伝学の演習問題として考えて、
その後これまでの文脈上で再検討したいと思います。

それでは、みなさん>>93の現象を説明できる最もシンプルか
つ信憑性のある遺伝モデルを考えてください。ROMの方も是
非参加してみてはいかがでしょうか。

>>122,>>123も非常に重要なポイントですので、「ミツバチ
問題」が一段落したら取り掛かりましょうか。もちろん、そ
の間コメントなどありましたらどんどん書き込んでください。

126 :除教授:01/11/10 01:12
それでは、私から解答してみます。

戻し交配で形質(行動)が4つに分かれていますので、遺伝子座は少な
くとも2つ以上ですよね。そこで単純に、“蓋を外す”遺伝子(●)と“幼虫
を捨てる”遺伝子(■)を仮定します。そしてこれらの遺伝子は劣性、つ
まりホモの時のみ形質を発現し、ヘテロでは発現しません。 衛生行動
をする系統A、しない系統Bの2倍体をそれぞれ以下のように表します。
 ●●      ○○
 ■■      □□
 系統A     系統B

AとBのF1は以下のようになります。衛生行動は起こしません。
 ●○
 ■□
 F1(AXB)

F1の配偶子は次の4つに分かれます。
 ●    ●    ○    ○
 ■    □    ■    □

ですから、F1とAの戻し交配の場合、遺伝型は以下のようになります。
各遺伝子はホモで形質発現しますので、左から順に、正常な衛生行動
をとる、蓋を外すのみ、幼虫を捨てるのみ、何もしない、となります。
 ●●  ●●  ●○  ●○
 ■■  ■□  ■■  ■□

私が考えた限りこれが最も相応しいモデルです。恐らく、ドーキンスも
>>93さんも同じモデルを想定されたと思うのですが…。他にもモデル
がありましたら教えて下さい。みなさん如何なもんでしょう。(というか、
遺伝学の得意な人にとっては、わざわざ説明するまでもなく自明の
ことなのかも知れませんが…)

もしこれでよろしければ、今度は、これまでの議論上でこの現象をどの
ようにとらえるかを検討することになります。

127 :名無しゲノムのクローンさん:01/11/11 13:54
>>126
ドンピシャだと思います。

128 :除教授:01/11/11 15:29
>>126ミツバチの続き
行動の最小単位のこととか、マスターキー遺伝子のこととか、論点
はいくつかあると思うのですが、とにかくまずはじめに、これら両
遺伝子が劣性ということが気になります。

私は、ファンクショナルな方が優性だろうと考えてしまうのですが、
そうである必要はないのでしょうか?特に、この場合、2つの遺伝子
(その形質)、つまり“蓋をとる”と“幼虫を捨てる”がそろって
劣性ということは、偶然なのでしょうか?あるいは、なにか必然性
があったのでしょうか?

129 :名無しゲノムのクローンさん:01/11/13 22:45
ファンクショナルか否かというのが生化学的なレベルでの話ならば、基本的には
ファンクショナルな方が優性ですが、ある行動をするかしないかというのは、そ
れとは別次元の話なので優性でも劣性でもあり得ます。例えば、これら2つの行
動を進化させた蜂がいて、ところがこの感染症がかつてよりも稀になってしまっ
た現在では、特殊な条件下以外ではこれらの行動を抑えるようなシステムが後に
進化し、これらの遺伝子はその抑制システムに必須な因子であるとか、モデルは
いろいろ考えることができます。それが現実的かどうかは、これらの行動に蜂
がかけているコストを正確に見積もることが不可能なので、なんとも言えない
ところです。

130 :29:01/11/14 07:51
>>128
 両遺伝子が劣性というよりも、変異遺伝子がドミナントネガティブなのでは
無いでしょうか?つまり、変異遺伝子産物が、野生型遺伝子産物の活性をも押
さえてしまっているとか。もしそうだとすると、ミツバチの例の両方の遺伝子
がドミナントネガティブだというのは面白いかもしれません。このスレッドで
言う、マスターキー遺伝子の変異はすべてドミナントネガティブになるのかも。

131 :名無しゲノムのクローンさん:01/11/20 00:12
書き忘れたので追加

132 :名無しゲノムのクローンさん:01/11/22 04:43
ageteokou

133 :名無しゲノムのクローンさん:01/12/08 09:40
保守age

134 :除教授:01/12/15 22:57
>129,130さんにレスをしようと思いつつ、あっという間に1ヶ月が
過ぎてしまいました。たまに覗いてはいたんですがね、なかなか精神
集中して書ける時間がなくて、、、その間、生物板もエライ荒れたよ
うな気がするのですが、気のせいですかね?

この時期みなさんもそれぞれ忙しいでしょうから、なかなか掲示板で
議論というわけにもいかないかも知れません。私は、クリスマスから
年末あたりに戻ってきて、集中的に書き込みしようと思っています。

もう一度、これまでに議論していただいたみなさんにお会いできると
いいのですが…

135 :29:01/12/16 10:49
>>134
 私はてっきり、もうトックリバチを用いて実験を始めいて、
それで忙しいのかと(笑)。そうでも無けりゃ、同様の件で
研究費申請で忙しいのかと思ってました(笑)。除教授さんの
議事進行が無いと、皆さん(私も)新しいアイデアが浮かばな
いようで。
 本題に関係無いので、sage ときます。

136 :名無しゲノムのクローンさん:01/12/22 22:30
29さんの仰る通り、除教授さんの仕切りが無いと、我ながら停滞しちゃいます。

私的には、有る意味での”動作ユニット”を支配する遺伝子は有り得るけど、
そもそも”動作ユニット”というのは、観察者の解釈の問題なんじゃ?という
ところに引っかかってます。

137 :除教授:01/12/30 16:24
ようやく戻ってきました。最後の書き込みからだいぶ時間がたってしまい
ましたので、もう一度課題の提起からはじめたいと思います。これまで議
論に参加されなかった方にもわかりやすく書いてみようと思います。

課題
トックリバチというハチがいて、泥をこねて精巧なトックリ型の巣を作る。
このハチは単独で活動し、もちろんトックリの巣も単独で作り上げる。
また、日本には8種のトックリバチがおり、種によってトックリの形が異
なることが知られている。

このハチの観察記録(例えばhttp://inpaku.kajima.co.jp/ani/tokkuribachi/
など)を改めて見てみると、このトックリ作りが学習によって獲得された
ものではなく、むしろ本能的な行動であることが強く推察される。

本能、つまり生まれながらに自発的に起こる行動は、遺伝によってのみ
次世代へ受け継がれる。今日遺伝は、ゲノム上の数万とも言われる
遺伝子群によって担われていることが明らかであるので、つまり、トッ
クリ作りという複雑な行動がゲノム上に何らかの仕組みによってプログ
ラミングされていることになる。

そこで 以下の二つの疑問がわいてくる。
1.どのような遺伝子(群)がトックリ作りに関与するのだろうか?
2.ゲノム上に行動をプログラムする“仕組み”とはどのようなものか?

もっとも、ここで実際に実験できるわけでもないので、このスレの目的は
3.そもそも上記二つのような少々厄介な課題にどのようにアプローチ
するか?その方法論、実験技法は?というあたりになるでしょうか。

138 :除教授:01/12/30 16:25
次に、これまでの議論をまとめてみようと思います。 まず、>>99-101
ゲノム→脳神経系(ニューロンネットワーク)→行動 という枠組みを出し
ていますので、今後この枠組みを土台にして議論をしたいと思います。

この課題に対してすでにいくつかの実験案が示されています。>>29さん
は、変異株からトックリの遺伝子にアプローチする手法を示しています。
これに対しては>>30-31のような懸念もありますが、いまのところもっとも
具体性のある案です。>>112-113でも補足されています。>>114さんは
種間雑種を作る案ですが、大まかには、>>29さんと同系の手法といえ
るでしょう。いずれも、ゲノム→脳神経系→行動 というテンプレートで考
えますと、真中の脳神経系はとりあえずブラックボックスとして、行動から
ゲノムへ直接とぶやり方ともいえます。

一方、脳神経系とトックリ作りの行動についても様々な疑問、アイデア
がだされました。まず、>>15さんはじめ何人かの方から、トックリ作りが
本当に複雑な行動なのかという疑問がだされています。つまり、単純な
行動をシーケンシャルに繋げただけではないかということです。それついて、
>>37さんからファーブルのマルハナバチ?の観察が例として挙げられて
いて、これが非常に興味深いのですが、これを読むとやはり、>>15さん
の見方が妥当なような気がしてきます。>>44さんも同様の考えのようで
す。これまでの議論では、この単純な行動の積み重ね説に対して大した
反論が出ていません。すでに定説なのでしょうか?

さらにここから発展して、それでは単純な行動の最小単位は存在するの
かという疑問(>>73さん)が沸いてきます。 >>74ではこの最小単位を
“動作ユニット”などと読んでいますが、本当に存在するのでしょうか?

139 :除教授:01/12/30 16:27
興味深いリファレンスも挙げられています。なんと言っても、トックリバチの
生態(>>4)を知らないことには、このスレを語れません。>>44さんは神崎
先生のHPを紹介して下さいました。脳神経系→行動の領域で興味
深い知見が沢山あります。>>93さんのミツバチの衛生行動(ドーキンス)
は、行動の遺伝(!)という興味深い例です。レスポンス(>>126-130
がありますが、まだ未消化なきがします。

最後に、
トックリ作りが本当に本能であるかという、この課題のもっとも根元に関
する疑問が>>32さんはじめ何人かの方から出されています。つまり、こ
のトックリ作りは本能とかではなく、学習によって獲得されたものではな
いかというわけです。もしそうであれば、これまでの議論はまったく意味を
なさないわけですが、まずは、このハチの生態を見てください
http://inpaku.kajima.co.jp/ani/tokkuribachi/)。これをみて、私自身
は、やはりトックリ作りが本能による行動だと思うのですが、みなさんは
いかがでしょうか?>>38さんはじめみなさんから、もっと野に出て観察し
ようという発言がかなり出ていますが、もちろんバイオロジストとして真っ
当な意見だと思います。ただ、このスレの興味はその先にあり、また残
念ながらここはバーチャルな場ですので、ここはとりあえず(多少の無
理は承知で)本能、つまり遺伝的にプログラムされていると仮定して
話を進めて行きたいと思います。

140 :除教授:02/01/05 06:28
意気込んで書いてしまったせいか、堅苦しくなってしまいました(>>137-139)。
これじゃ、レスのつけようがありませんね。

鉄は熱いうちに打てといいますが、スレも熱いうちに語れ、ということでしょう…

141 :名無しゲノムのクローンさん:02/01/09 06:13
単純な行動がサブルーチン化されて脳(ニューラルネットワーク)にプログラム
されているのは確からしいと思われ。じゃないと、もし全ての複雑な行動に対応
するニューラルネットワークが存在するとすると、脳が爆発しちゃうじゃん。

142 :名無しゲノムのクローンさん:02/01/11 00:00
ナイーブかもしれませんが、交配可能な亜種でトックリの形の違う奴同士を
掛け合わせてみたいですね。
ビーバーがダムを造るのも本能行動なので、トックリ作りが遺伝的にプログ
ラムされていることは、無理なく受け入れられると思います。

143 :29:02/01/11 05:25
>>142
 日本に8種類いるそうですが、この辺はどうなんでしょうね。交配可能
な種類はあるんでしょうか。>>助教授さん

144 :除教授:02/01/13 02:23
>>143
うーん、なにしろ私自身実際に見たことがないもんで…。それぞれ種として
成立しているということは、一緒にカゴにいれても自然に交わるということ
はないんでしょうね。こういったハチの人工交配の手法って、確立されて
いるんでしょうかね??

145 :ポスドクA:02/01/14 15:16
久しぶりにきました。
議論の途中ですみませんが、提案です。
「昆虫に限定せずに、遺伝子と行動に関する実験事実の報告」を募集しませんか?
ラット等でもかなり行動と遺伝子の関連がしらべられていると思います。
例えば利根川さんの研究も、そうじゃないかなぁ?(論文を読んだこと無いけど)

私が>>38で主張した観察事実の積み重ねの主張は、
たしかにこのようなバーチャルな場には適さないかもしれません。
ただ、このようなバーチャルな場でファクトを足場にしない議論は、
上滑りな感じがしますし、飽和しつつあると思われます。

このスレでも、具体的な実験事実の提出が
>>93や神崎さんのホームページhttp://moriyama.com/netscience/Kanzaki_Ryohei/index.html
活発な議論の引き金となっている気がします。

というわけで、議論が拡散する恐れもありますが、
このスレに関する
(特に、>>138の「動作ユニット」に関係しそうな)
実験事実の募集を提案します。

どうでしょ?除教授?

146 :除教授:02/01/15 19:30
>>145
お久しぶりです。提案の内容よくわかりました。それではそのようにや
ってみしょうか?それと、難しい議論だけでなく、気楽に感想とか思い
ついたこととかもどんどん書き込むようにしましょう。肩の力を抜いたほ
うがいいアイディアが出るかも知れませんね。

細かいことを言うようで何ですが、利根川先生の研究を取り上げられて
いましたが、このスレの主旨とは少々離れているような気もします。確か、
海馬の受容体をノックアウトしたら記憶が低下したという研究のことです
よね。記憶・学習による行動は、ここで取り上げられている本能による行
動と極めて対照的ではないでしょうか。もっとも大きな違いは、ここの究
極的なテーマでもあるのですが、本能による行動は何らかのかたちで
遺伝的にプログラムされている(いなければならない)ということです。
もっとも、本能をよく知るためには、学習による行動と比較するのも一手
かも知れませんが。

さらに言わせて頂ければ、先の利根川先生の結果って、改めて考えてみ
るとそれほど驚かないというのが率直なところです。こんなことを言ったら
大顰蹙ですけど、あらかじめ予想されていたものの範囲という気がするの
ですが、専門家の方いかがでしょうか?

147 :29:02/01/16 06:11
話題提供を一つ

 アメリカ西海岸のある蝶は、夏と冬とで生活に適した場所が違うため、
いわゆる渡りをします。蝶はご存知の通り寿命が短い為、世代交代が早
いです。それで、結果的に元の場所に戻ってくるのは、2ー3世代あと
になるそうです。ところが、戻ってくる場所はせいぜい100m四方ぐ
らいの非常に狭い領域なのです。この、同じ場所に帰ってくるという行
動は、ミームでは説明できません。本能でやっているはずです。どのよ
うな遺伝子の機能を考えれば、このような行動が出来るのでしょうね。

148 :age:02/01/16 15:47
名レスの予感

149 :名無しゲノムのクローンさん:02/01/16 21:12
私はこの分野は完全に専門外なのですが一つ疑問に
おもいましたので質問です.「動作ユニット」あるいは
単純な運動,複雑な運動うんぬんのような問題はヒトの場合
筋活動(EMGの活動パタン)で論議すべき問題だと
思います.蜂や蝶でも同じように考える
ことはできないのでしょうか?

150 :名無しゲノムのクローンさん:02/01/16 23:16
最近、「ゲノム風水」ってあるんですね〜
googleで検索したら出てきたんでびっくりしました(藁
本題にまったく関係ないのでsage

151 :除教授:02/01/17 06:37
>>147
面白い話ですよね。今度ソースを教えてください。この蝶の渡りも本能の行動
のように見えますが、それほど簡単ではないようですね。この渡りが遺伝的に
プログラムされたものなのか、あるいは、温度とか光とか植生とか外的な要因が
重なって結果的にある程度限られたルートをとっているのか、ハッキリと区別
しづらい気がします。

>>149
>筋活動(EMGの活動パタン)で論議すべき
うーーーーん、そうきましたか。。。基本合意はしますが、なかなか頭の中で
思い描けないなぁ・・・。
ちょっと脱線かもしれないけど、例えばアイボなんかの場合個々のモータの動き
を同時に制御して、いわゆる行動を作り出していますよね。あの場合プログラム
はどうなっているんでしょうか?あるひとつの行動に関係する一連のモーターの
動きをまとめてサブルーチン化していると創造しますが…

ま、人工物を安易に例にたとえるのは危険ですね。


152 :29:02/01/17 09:26
 >>147 のソースは、実は口コミなんです。先週友達がそちらに遊び行って、
そこの博物館でその情報を見つけて実際に見に行ったとか。サンフランシスコの
近くにある、Monterey という所での話です。ちらっと web でサーチした
感じでは結構有名なようなので、良い web page が見つかればアップしてお
きますね。おっしゃるように外的な要因がかなり関与しているので、既出の
トックリバチやミツバチほど良い系ではないかもしれませんが。

153 :名無しゲノムのクローンさん:02/01/17 10:52
つーか、ついこの前テレビでやっとっただよ。
http://www.nhk.or.jp/daishizen/fbangumi/daiidou.html
オオカバマダラってやつ。再放送しないかな。

154 :ポスドクA:02/01/17 11:27
>>146
そうなんですか?
彼の仕事を良くわかってないことがバレてしまいました。

>>152
Web情報が楽しみです。
しかし、誤差が100mってのはすごいな。
専門家の意見が聞きたいです。




155 :Ultra-anthorax:02/01/17 12:43
>29〜31
昔ハエをやっていて感じたのだが、本能みたいに複雑なものは一つや二つの遺
伝子では決まっていないと思うな。極論すると全ての遺伝子の相互作用の結果
だよ。だから単一遺伝子の変異体を探す古典遺伝学的な手法をトックリバチの
行動に遺伝学を適用しても、ベンザーが大昔ハエで見つけた事以上のことはわ
からないだろう。っていうか>30さんがいうとおり、ハエではほとんどそん
なものしか取れてこなかった。

156 :名無しゲノムのクローンさん:02/01/18 00:00
>>155
「一つや二つの遺伝子で決まっている、いない」というのは、表現形を解釈する
仕方の問題を無視できないと思います。どんな表現形だって、極論すれば全ての
遺伝子の相互作用の結果ですよね。きっと155さんも同じコトを言いたいのだと思いますが、挙げている反例が反例になっていない気がします。>>122>>124あたりの主張が同じポイントを問題にしているのでは。

157 :Ultara-anthorax:02/01/18 03:08
単一遺伝子の変異体を探す古典的遺伝学的手法には限界があって、それを本能
といった複雑な行動をあきらかにするために用い入るのは無理があると言いた
いだけ。みんなEMSやらトランスポゾンで 単一遺伝子の変異体探ししているが
本当にこれはすごいという報告を見たことがお目にかかった事が無い。複数同
時に壊さなければおもしろい表現型は出せないのではないかと悲観的におもっ
ているわけです。複数の遺伝子をいっぺんに壊すことはかけ合わせでさえ難し
いのに、スクリーニングで運良く同時にヒットということはまずあり得ない。

158 :名無しゲノムのクローンさん:02/01/18 04:46
>>157
勘違いなら申し訳ないんだが、以前、意識スレで書き込んでいた方
ですか? ふっと思ったんだけど、このトックリバチや意識の問題に
構造主義生物学から取り組んだらどうなるだろう。

159 :29:02/01/18 06:44
>>155-158
 大変だとは思いますが、このスレッドのレスをすべてお読みになる
事をお勧めします。Ultara-anthorax さんのロジックでは、ハエの
ホメオボックス遺伝子は取れなかったはずだという事になりますね。
>>30 の話ではスクリーニングの仕方が悪かっただけの事。個人的に
は、どのようなスクリニーングをすれば目的の遺伝子に行き当たるか
と言う事に興味があります。
 ミツバチの例では、すでに変異株が取れています。私がミツバチの
研究をしていれば、是非遺伝子をクローニングしてみたいものです。

160 :除教授:02/01/18 07:21
出遅れてしまいましたが、私が言いたかったことは既に29さん(>>159
が言ってしまいました。勿論Ultra-anthorax さんの指摘は真っ当なも
のだと思うのですが、何かしら巧妙な手法を使えば、ホメオボックスの
ようにあたりが取れることもあるだろうということです。

161 :除教授:02/01/18 08:07
>>158さん
実は私もね、その昔構造主義生物学の本なんか読んだりしてたんですが
ね、S谷さんの本なんか相当惹きつけるところがあると思うんですけど、
如何せん、実験主体の今のバイオロジーとの間にギャップがありすぎる
んです。

“構造主義でやりましょう”
“ハイ。では何から始めましょうか?”
“・・・”
って、ここで止まっちゃうんです。158さん、もしトックリバチを
構造主義からアプローチすると、どの用な切り口から始めますか?

162 :Ultra-antholax:02/01/18 09:32
>158
違います。
>159
全ては読んでなかったので筋違いの事で口を挟んでしまっているの
かもしれません。ごめんなさい。
ところでミツバチの変異体とはどのようなものでしょうか? ハエ
屋が見つけてきた変異体とは全く異なる面白い表現型でしょうか?
是非、教えてください。それから個人的には、どのようなスクリ
ニーングをすれば目的の遺伝子に行き当たるかと言う事に興味があ
りますとありますが、具体的にはどのようなスクリーニングをすれ
ばどういうものが取れるか概略だけでも教えていただけませんか?
もしEMSやX腺を使って某の表現型を示すものを探してくる、という
ものならば単一遺伝子の変異体しか取れてきません。何度も言って
いるようにそれでは新しい事はきっと何も分からないでしょう。
'' Ultara-anthorax さんのロジックでは、ハエのホメオボックス遺
伝子は取れなかった''というのもちょっと意味がわかりません。そ
れから
>160
ホメオボックスのようにあたりが取れることもあるだろうというこ
と、とありますが、これも意味よくわかりません。説明お願いでき
ますか?歴史的に言うとホメオティック変異体なんて狙って取って
きたものではないですよ。偶然見つかってそこから全てが始まった
ものですよ。それからこれも私の論拠のひとつだが、Homeobox遺伝子を動かすといろんなところで眼が出来たり足ができたりするが、
本当に重要な事はその下流にあるたくさんの遺伝子郡が同時に発現
して協調し合いそして足や眼ができることであって Homeoboxがあれ
ば他は何もいらないかというえばそんなことは全くない。そう言う
意味で Homeobox遺伝子みたいなマスター遺伝子を見つけてきてもそ
の下で働く多くの遺伝子について知らなければなぜ眼ができるのか
ということには何も答えたことにはならない。本能という現象を上
の文章の眼や足に読み替えてみてください。


私は古典的な遺伝学では本能には迫れないだろうと思って方向変換
している者です。現在でも主流である「何々の具体的な遺伝子を
釣ってきてそれで意識、本能を説明する」みたいな主義にも悲観的
です。

163 :29:02/01/18 09:41
>>162
 何度も言うようですが、一度全部を読んでみてください。おそらく
興味ある書き込みがいくつか見つけられると思いますよ。それから
再度質問して頂ければ幸いです。

>Homeobox遺伝子みたいなマスター遺伝子を見つけてきてもそ
>の下で働く多くの遺伝子について知らなければなぜ眼ができるのか
>ということには何も答えたことにはならない。

 もしこれを本気でおっしゃっているのなら、あなたは研究というも
のが何たるかを知らないと言えると思います。私はあなたの文章の
「何も」と言う部分にひっかかる。ホメオボックスの発見が発生学
に飛躍的な進歩をもたらしたのは事実です。もしこのスレでのマスター
キー遺伝子が取れてきたら少なくともそれは突破口になりうる。そ
のあと細かな事をすべて知るにはそれこそ膨大な時間と人手がかか
るのは当たり前の話です。

164 :158:02/01/18 11:21
>>除教授さん、29さん
実は私はこのスレの30であり47です。
公の場では口にしませんが、私はひそかに現在の主流であるセントラル
ドグマのパラダイムに則った行き方に疑問を感じている者です。というか
遺伝子で説明する方法になじめないだけかも知れませんが(笑)

私はトックリバチの行動の観察、つまり巣作りの刺激から神経系に至る
研究方向を指向します。構造主義生物学に言及しましたが、たとえば
以前ハエの交尾の例を挙げたように、トックリバチは前肢とアンテナや
口吻との位置関係から神経系が非常に単純な働きをするだけで巣作りが
実行できるような構造になっているのかも知れない。このことは器官の切除、
局所麻酔などの方法で調べることができます。であるなら身体構造に関わる
遺伝子も巣作り行動に関与していることになり、巣作り行動の単一遺伝子を
検索する試みはそもそも見当違いかも知れない。
いずれにしても、私はいろんな研究方法を動員することをすすめたい。

165 :29:02/01/18 12:08
>>164
 まず、セントラルドグマの話と「行動 <=> 遺伝子」の話との関連が
良く分かりません。よろしければ、詳しい説明をお願いします。

>トックリバチは前肢とアンテナや
>口吻との位置関係から神経系が非常に単純な働きをするだけで巣作りが
>実行できるような構造になっているのかも知れない。

 例えば、卵を一つだけ産むとか、卵を産んでからしか蓋をしないとかの
動作も、体の構造だけで説明できるとお考えでしょうか?もしかしたら、
厳密な意味でそちらのおっしゃる様な事は否定できないかもしれない。し
かし、トックリバチの巣作りのやり方や、既出のミツバチの例などを考え
ると、私には行動を支配する遺伝子が昆虫にもあるとしか思えないのです。
だから私には、巣作り行動の遺伝子(単一ではありませんよ)を検索する
試みは見当違いのように思えない。
 色々な研究方法を動員するというのは大いに賛成です。なかなかアイデ
アが出なくてみな困っているので、新しいアイデアは喉から手が出るほど
ほしい所です。

166 :158:02/01/18 13:01
>>165
> まず、セントラルドグマの話と「行動 <=> 遺伝子」の話との関連が
>良く分かりません。よろしければ、詳しい説明をお願いします。
言い方が悪かったかも知れませんが、通常は
遺伝子→RNA→タンパク質→神経系→行動
のパターンのみで考えるが、
遺伝子→RNA→タンパク質→身体構造
の流れもあって、身体構造と神経系が相互作用することも考えられる、
ということです。これも例に過ぎません。

>卵を一つだけ産むとか、卵を産んでからしか蓋をしないとかの動作
これが何を指されているのかよく分からないのですが、決して身体構造
のみで説明できると言っているわけではないのです。
これも例ですが、マンホールの穴の直径とほとんど同じ太さの棒を
マンホールに差しこもうと思ったら精緻な制御機能をもつ神経系が必要に
なるが、マンホールの周囲がすり鉢状になっておれば棒を適当に突っ込んでも
棒がスポンとマンホールにはまるだろう。であれば神経系の負荷ははるかに
小さくなる。これと同じような仕組みがいろんな行動に働いているのでは
ないかと考えているのです。
もちろん昆虫の行動が広い意味で遺伝子に支配されているということを
否定する気はありません。

167 :おっさんまー:02/01/18 13:10
>>165
行動を支配する遺伝子といわずに、各、素行動を支配する神経回路の形成・
スイッチオンを支配する遺伝子群というべきではないでしょうか?
ホルモン・フェロモンにより行動が激変する例はたくさん知られてます。
(ショウジョウバエの交尾後の交尾拒否など)

仮説)とっくりばちでは、交尾する。雄からホルモンを受け取る。巣作り回路作動
(泥を飲む、吐き出しながら首をまわす、これをくり返す、巣口が大きくなりmaxになると、口が小さくなるように泥をつける、ある程度小さくなったら、一旦
やめる)。卵生む。排卵刺激により、芋虫探しにでかける。狩りの行動回路作動。
芋虫巣にいれる。口を閉じる

各行動を生み出す神経回路を見つける(明らかにする)ことが重要では?
行動を支配する遺伝子群というまえに。

168 :名無しゲノムのクローンさん:02/01/18 13:19
コンピューターに意志はありません。
事前にプログラミングされた内容を実行するだけです。

169 :158:02/01/18 13:26
>>168
コンピュータはそのプログラムを「人間が命令を与えて」実行させる
必要がありますね。
では昆虫は何がそれを行っているのでしょう?

170 :おっさんまー:02/01/18 14:01
>>169
外界からの感覚刺激及びホルモンなどの内からの刺激です。
まったく学習しない昆虫は、事前にプログラミングされた内容
を実行するわけですが、突然変異によりそのプログラムは変更
可能です。それが生殖細胞に伝わる機構があれば行動は変化
(進化)するのでは?。

学習する昆虫はさらに、社会性または猿真似すればその行動は
変化(進化)しますが、ゲノム上の変化となるには学習内容
(その神経回路形成プログラム)を生殖細胞に伝える必要がありますね。

トランスポゾン及びその痕跡が多くの動物のゲノム中にみられることを考えると体細胞から生殖細胞へのゲノム改編情報伝達も起ったかもしれませんね。

171 :おっさんまー:02/01/18 18:53
>>167
自己修正。行動の様子に細かな間違いがありますが、まあ本質的には同じ様に考えればOKかなと思います。
>>170
これも自己修正。全く学習しない昆虫も学習する昆虫も、生殖細胞に起きた
突然変異は遺伝するからそれで行動変化は遺伝しますね。
学習する昆虫では、自力で学習するだけでなく、社会性または猿真似してその行動を変化させることもできますが、これはゲノム上の変化は必要ないが、個体を隔離すればできない行動ですね。もしこの行動変化が生殖細胞ゲノム上に刻まれる
(変な表現ですが)ことができれば、行動はかなり大きく変化するかもしれませんね。トランスポゾンで別種からの行動が転移することもあるかも?

172 :Ultra-anthorax:02/01/19 02:56
>157
そういえば意識スレに書き込んだことがあったなあ。その事ですか?

>163
何か私の質問ははぐらかされたようで嫌ですけど。。。

10年ハエやっていてhomeobox geneの研究の動向については常に注意を払って
見守ってきたつもりだが、研究のなんたるかを知らないと言われるのは心外だ
ね。ま、それはともかく、今や homeobox geneの研究は新たな突破口を必要と
していると思うし、意識や本能と homeobox geneのようなマスター遺伝子の一
見似ていなようで実は共通の問題はあると思う。私なりの答えは一個や二個の
遺伝子で全てを説明しようとするのは的はずれ。全ての要素を考えないとだ
め。もちろんこれがとても大変な仕事であることは痛い程分かっている。しか
しもしこれまでと同じような古典的な方法に頼るのであれば、もうすでに過去
の人たちがやってきたことの焼き直しにしかならないと私は確信している。何
度も言うようだけど、単一遺伝子の変異体で本能といった複雑なものは変化し
ない。多くの遺伝子の作用で決まっているはずだ。これは実際に数多くのハエ
の変異体を見て来て感じた私の感想。よって古典遺伝学的手法(いや実は現在
の方法も全てこの範疇に入っている)ではこの問題に入るのは取り組むのは難
しい。ベンザーもハエを使って本能の問題に迫ろうとしたのは立派だが、目的
は達成できたのかといえば疑問。他の問題で貢献したことは確かだが。

ミツバチの遺伝子のクローニング楽しみにしているよ。

173 :名無しゲノムのクローンさん:02/01/19 02:57
タケダせんせ@狸学部弐号館の手下でもいるのか?>ミツバチ

174 :除教授:02/01/19 03:08
今日はたくさんレスがついていますね。

まず、Ultra-antholax さんですが、主張されていることは、これまで
私たちが議論してきたことに近いと思います。なかなか面倒だとは思い
ますが、一度このスレを全部読んでみていただけませんか?そうすれば
私たちと議論がかみ合うようになると思うのですが。。。

次に158さん
かなり独創的ですね。大変楽しく読ませてもらいました。一点指摘させて
頂ければ、一部で、研究哲学と研究手法がミックスしてしまっているかも
知れません。とりあえず、何をどうしたらどんな結果が期待できるのかと
いうことを簡便に書いてもらえませんか?そうしたら、もっと議論がもり
あがると思います。

おっさんまーさん、すみません。言わんとするところが理解できませんで
した。もう一度整理して書いてもらえませんか?

175 :うるとらーあんそら:02/01/19 04:29
もうちょっと追加。
一個や二個の遺伝子で全てを説明しようとするのは的はずれの理由。
ハエ屋はなぜ羽や足ができるのか、どのようにしてできるのかに興味がある。もちろんホメオティック変異体のように大きく構造が変わる変異体はこれまで多くの研究者達の注意を引いた。しかし例えばハエの羽と平均棍の場合、ここではあるhomeobox遺伝子が発現しているか
していないの違いだけなのだが、下流のdpp, wg,hh,..etc といった
morphogenesis にダイレクトに作用する遺伝子郡の発現プロファイルは
全く異なっている。homeobox遺伝子がハネを作っていると言うのは正確
に言うとは間違い。dpp, wg,hhをふくむ多くの遺伝子の発現プロファイ
ルの違いが羽と平均棍の形の違いを生み出しているというのが正しい。
そしてdpp, wg,hhの単一変異体の変異体では別に羽と平均棍が入れ代わ
ることは無く、羽の構造が欠けたりするだけ。多くの遺伝子の相互作用を考えないとこの問題は解けない。

ハエにもオスメスの性行動がおかしくなるのがいるが、多くが脳の構造
全体がオスメス逆転していたり、雄特有の性行動に必要な筋肉がないと
かなどである。gene dosage (つまり性染色体の量比ね)のregulation
に関わる遺伝子の変異体でも同様なことが起こると思う。
しかし、これらの遺伝子は本当に本能の問題に迫っていると言えるのか?

単一遺伝子の変異体で確かに大きく本能行動がおかしくなるのがとれて
くるかもしれない。でも本当に重要なのはその下の個々の要素がどのよ
うに相互作用して本能行動を具現化させているか、じゃないのかな。
で、これは大変むずかしくて新たな方法を考え出さないと手が出せない
問題であることは間違い無い。

176 :29:02/01/19 05:06
>>166
>言い方が悪かったかも知れませんが、通常は
>遺伝子→RNA→タンパク質→神経系→行動のパターンのみで考えるが、
>遺伝子→RNA→タンパク質→身体構造の流れもあって、身体構造と神
>経系が相互作用することも考えられる、ということです。これも例に
>過ぎません。
 うーん。やはり良く分かりません。後半に提起されている問題は理解
できるのですが、これとセントラルドグマの問題とは別のように思いま
す。

>決して身体構造のみで説明できると言っているわけではないのです。

>もちろん昆虫の行動が広い意味で遺伝子に支配されているということを
>否定する気はありません。

 恐らく考えている事はほぼ同じだと思います。トックリバチのケースでも、
触覚の長さ等がトックリ作りに大きく関与しているのは事実のようです。もし、
行動に関する遺伝子を変異型からスクリーニングしてくる場合、そちらのおっ
しゃるような変異型が取れてしまう可能性が十分ありますね。そうならないよ
うなスクリーニングの仕方が無いかという事についてスレッドで議論されてき
ています。結論としては、未だ良いスクリーニング方法は提起されていません。
 他方で、助教授さんのおっしゃるように、ホメオボックスのクローニングの
ようにうまくスクリーニングした例もあります。参考になればという事です。

177 :29:02/01/19 06:54
>>167
>各行動を生み出す神経回路を見つける(明らかにする)ことが重要では?
>行動を支配する遺伝子群というまえに。

 ここが良く分からないのですが、ここで問題にしている「行動を支配する
遺伝子群」というのは、おっさんまーさんのおっしゃる、「各行動を生み出
す神経回路」を含んでいると思うのですが。それ以外に、各行動間でのスイッ
チングの遺伝子も含まれると思います。大まかな所では、おっさんまーさんの
主張している事とここのスレッドで議論されている事は同じだと思います。

>>175
>一個や二個の遺伝子で全てを説明しようとするのは的はずれ

 ここでは誰も一個や二個の遺伝子で説明しようとしていませんよ。何回も
言うようですが、一度端から端まで熟読されてみてはいかがですか。

178 :158:02/01/19 09:44
Ultra_Anthraxさんの
>dpp, wg,hhをふくむ多くの遺伝子の発現プロファイ
>ルの違いが羽と平均棍の形の違いを生み出しているというのが正しい。
>そしてdpp, wg,hhの単一変異体の変異体では別に羽と平均棍が入れ代わ
>ることは無く、羽の構造が欠けたりするだけ。多くの遺伝子の相互作用を
>考えないとこの問題は解けない。
この部分は結局、私の書いた
>遺伝子→RNA→タンパク質→神経系→行動のパターンのみで考えるが、
>遺伝子→RNA→タンパク質→身体構造の流れもあって、身体構造と神
>経系が相互作用することも考えられる、ということです。これも例に
>過ぎません。
と見ている部分は違うが、同じことを指していることになると思う。

私の記憶ではUltra_Anthraxさんは現在アメリカの大学で、昆虫かどうかは
分からないけれども視覚系を研究されているのでしたね。

>>除教授さん
私はすでに現場を離れた人間ですし、昆虫の神経系を研究したことも
ありません。しかし、ここでの議論や、最近なされた言語に関わる遺伝子
発見の主張は、同じ陥穽にはまっているような気がするのでひと言指摘した
までです。

179 :うるとらあんそ:02/01/19 11:54
全ての遺伝子の相互作用を調べることは現実的にはできないわけだから、決
局、ごく限られた少数の遺伝子だけで説明せざろう得なくなるのではないです
か?これは現在主流となっている遺伝子ですべてを説明する、もしくは出来
る、みたいな風潮にたいする私の疑念なのです。

私の言いたいことは、ゲノムと本能との間には大きな大きな溝があるというこ
となんです(もうすでに誰かが同じことを言っているかも知れない)。その間
には神経系と外界との相互作用といった遺伝子だけでは決定できない重要な要
素もある。だからこのスレの冒頭にある「高度な行動様式が、DNAレベルに“還
元”されて親から子へ受け継がれていることになる。このメカニズムを遺伝子
レベルで考察せよ」という文章に疑問を感じたのです。せいぜい、DNAが正確に
複製するから子は親に似て、よって同じ環境にあれば同じように反応する、と
しか私は答えようが無い。大多数の人が考えているような、ならかの特定でき
る遺伝子があってそれをクローニングすると本能が説明できるかもしれない、
みたいな答えはグラントプロポーザルには書けても、正直な答えではない。何
万もの遺伝子の相互作用を調べ挙げないと説明できないと思うから。そして古
典的遺伝学(現在の手法もそれからまだ脱していない)はこの手の問題を相手
にするのは不十分である。

180 :sei ◆a7rgYXxw :02/01/20 13:10
ゲノムと本能との間には大きな大きな溝がある?
本能なんてものは分泌される物質のやりとりにすぎない。
ゲノムは表面的な形質のみを司るにあらず。


181 :158:02/01/20 13:33
>>180
ではその物質を分泌する「タイミング」は何が決めているんでしょう?
ある生体内環境になった時、どうしてそれがその「タイミング」だ、
ということが分かるんだろう?
うーんとうまく言えないな。減数分裂の生じる経緯はよく記述されている
けれども、どうして生物はあのような面倒くさい分裂を行うのだろう?
その必要があるのだろう?
ドーパミンがどの受容体と結合して神経系がどのように反応するかは
よく記述されているけれども、そもそもどうして我々はドーパミンに
対して快感を感じるのだろう? どうしてそのような仕組みを持っている
のだろう?そのような仕組みを用意する必要があったのだろう?

生物学は我々がほんとうに知りたいことに答えようとしてこなかったの
ではないか? なーんて、言いたいこと分かる?

182 :sei ◆a7rgYXxw :02/01/20 14:11
その仕組みがゲノムにかかれている。感覚なしで生物が存在しうるか?
自然淘汰を考えよ。

183 :sei ◆a7rgYXxw :02/01/20 14:12
なぜではなく必然ととらえよ

184 :sei ◆a7rgYXxw :02/01/20 14:22
万有引力とはいっても「なぜ」引き合うのかは誰も知らなかった。
しかしそれでも天体の運動は説明できる。「なぜ」を追求すべき
分野を誤ると話はあらぬ方向へいってしまう。ゲノムと行動を考える
ならば入力に対する受容する器官はゲノムにかかれているべきである。

185 :158:02/01/20 16:17
>>182
私は>>166でマンホールと棒の例を挙げて身体構造と神経系が相互作用する例を
示した。これが複数の形質が平行に進化することのひとつの説明と考えている。
確かに身体構造と神経系はそれぞれ別々にゲノムに書かれているだろう。しかし、
この平行進化を推進した原動力は身体構造と神経系の相互作用である(身体構造と
神経系の微小な突然変異が蓄積し得たのはそれらの相互作用が存在したからである)。
この相互作用がゲノムに書かれているか?否だ。

>>183
>なぜではなく必然ととらえよ
生物にはさまざまな複雑さのレベルが存在する。これらのレベルをすべてこの論理で
説明するのは不可能であり、納得できない。最高の複雑さのレベル、多数の神経細胞が
結合した脳からどうして意識が生じるのか? これを「必然」と片づけて納得できるか?

>>184
>万有引力とはいっても「なぜ」引き合うのかは誰も知らなかった。
>しかしそれでも天体の運動は説明できる。
しかしそれでも天体同士は「なぜ」引き合うのかという疑問はそれまでずっと
つきまとってきたのである。

186 :おっさんまー:02/01/20 19:30
全部読んだらみなさんゲノム、神経回路、行動と考えておられる
ようでわかりました。行動のゲノムへの刻み込み?については
もう少し調べて書き直します。今は忘れてください。

るいすさんのほめおてぃっく変異解析が例に挙げられてますが、
あれは自然に生じたアンテナぺでぃ阿などがきっかけでるいす
さんが変異を丹念に調べたわけですが、彼は体のある構造が
別の構造に変わるのを直接調べられたわけです。つまりスクリーニング
段階でこれはだめ、これはよしとすぐわかってまがいものを捨てられた。

ところが行動の変異をとってもそれは大抵その行動に関係する
中枢の変異かどうかすぐ直接調べられるわけではない場合が多い。
触覚の感覚毛の変異とかいろいろ混じってきて、すぐにわかりにくい。そこが大変ですが、
その割には記憶、学習ミュータントがとられ、それらがキノコ体に主に発現している
cAMP代謝関連の蛋白群だったことは先人の努力を大いに称えるべきでしょう。
ですから、簡単なEMSなどを使ったミュータントとりでも、行動に関わる神経回路の構造
変異やそこで働く機能分子の欠損変異などもとれてこないとはかぎらないのでは。
もちろんその変異分子が他の系でも働いてたら解析がむつかしい。



187 :名無しゲノムのクローンさん:02/01/20 19:44
そこで今はGal4円半サートラップで特定の神経細胞群でGal4が作られる
ように系統を準備しておいて、その影響下で発現するUAS-シナプス伝達を
遮断する蛋白をその特定の細胞群で作らせて、その神経群経路の回路を
遮断する実験がよくサイエンスやNatureに載ってますが、そういう形で
行動がどうなるかを見ていく方法が今は一番有効にみえますけど、
どうなんでしょう。だれか専門家が解説してくれないかなー。
この方法だと1個の遺伝子の変異をみるのでなく、ある行動に関わる
神経回路をつぶすのでより行動変異を検出できるはず。

188 :除教授:02/01/21 00:16
おっさんまーさん、ログを読んで頂いてありがとうございました。おっしゃる
とおり、一目瞭然の形態に比べて、行動は捉えどころがないですね。逆にそれ
がチャレンジングで面白いと思うのですが…

>>187さん、Gal4エンハンサートラップをいろいろ検索してみましたが、大変
面白かったです。基生研の伊藤先生の名前がぞろぞろ出てきましたが、この分野
の第一人者なのでしょうか?
基生研HP
http://jfly.nibb.ac.jp/lab/
伊藤先生プロフィール(写真あり、かなり強烈)
http://www.jtnet.ad.jp/WWW/JT/Culture/BRH/s_library/scient/itou/itou.html

伊藤先生の研究ではこのGal4円半サートラップを用いて、ショウジョウバエ
脳細胞の細胞系譜作りに成功していますが、「脳の多くの領域で、一つの細胞
系譜に属するクローン細胞群が、特定の一つか二つの脳構造にのみ投射してい
るのが見つかりました。」(基生研HP)というのはとても興味深い知見です。
さらに、「一つの幹細胞に由来する細胞群が作る脳構造を、クローナル・ユニ
ットと名付けた。ショウジョウバエの脳の回路網は、個々の幹細胞由来のクロ
ーナル・ユニットが多数モザイク状に組み合わさった構造と考えることができ、
発生において細胞系譜の果たす役割が極めて大きいことが分かる。現在は、
脳各部のクローナル・ユニットをなるべく多く同定すべく、網羅的なマッピン
グを進めている。 」(伊藤先生プロフィールHP)というのもこれまたすごい
成果ですね。

掲示板のバーチャルな議論と上のような地に足ついた研究の成果を同一になら
べるの申し訳ないのですが、伊藤先生のいうクローナルユニットと、ここで
議論になった動作ユニット(>>73-74)に何らかの関係があったりしたら面白い
ですよね。




189 :名無しゲノムのクローンさん:02/01/21 16:17
さらに現在ではMARCM法といって、single neurn or two neuronsだけでGal4を発現させる
方法がスタンフォードのLuoさんによって開発されています。

ですから電気生理である本能行動に関係する脳領域がわかってきたら、
その領域のneuron群でGal4を作る系統を調べ、さらにその系統で
MARCM法を行ってあるsingle neuronでだけGal4を発現させ、UAS-シナプス
伝達遮断蛋白を作らせ、そのニューロンだけ機能停止させることが理論的には可能
になっています。そのうちいろいろ論文でてくるんじゃないでしょうか?

190 :うるとらーあんそらっくす:02/01/22 00:38
遺伝子をつきとめたところであまり本能というものの本質に迫れていないと私
が考えている理由。
具体的に遺伝子をクローニングしたところで、何々レセプターだったり転写イ
因子だったり、ニューロペプタイドだったりするわけでしょ。しかも発現はユ
ビキタスだったりして何でこんな表現型がわからなかったりすることもある。
例え局在していても何という細胞に局在していのかわからなかったりする。
そして例え局在する細胞がわかっていたとしても、その神経細胞は何をしてい
るのかさっぱりわからないこともある。このスレでどなたかがいっているよう
に、遺伝子そのものではなくまず、注目する行動の神経回路を明らかにするの
が先決かもしれない。
一つの神経回路の形成には数多くの遺伝子が複雑に絡んでいるはずだから一個
や二個の遺伝子をつぶしたところでどのくらい変化するのか私には疑問なので
ある。一個や二個の遺伝子の変異体で表現型をいくら調べても不十分だと私が
考える理由はここにある。

伊藤さんは、ハエで明らかにされた神経回路はまだまだすくないので、まず解
剖、組織学からということでがんばっておられると思う。



191 :除教授:02/01/22 03:19
>>190さん
このスレの始めのほうを読んで頂ければ解ると思いますが、最終ゴールは、
本能による行動(ここではトックリ作りを例に上げて議論していますが)が
どの様にして次世代へ受け継がれていくのか、そのメカニズムを考えてみよう
ということです。メカニズム…、つまり仕組み、からくりということですから
必ずしも遺伝子同定に的を絞っているわけではありません。もちろん、ここでは
トックリ作りは、本能でありゲノム上に“プログラミングされている”と考え
ているので、ゲノムとゲノム上の遺伝子(群)が重要な役割を果たしていると
考えるのは自然なことだと思いますが。

突然変異から遺伝子を探っていくという手法は、このスレの参加者から出された
ひとつの提案です。これまで、この手法を用いる妥当性や技術的な実現性が議論
されて来ましたが、まだ結論に達したという気はしません。今後も議論は続けた
いと思います。

Gal4エンハンサートラップも新たに提案された手法です。非常に魅力的な方法
ですので、これから大いにあれこれと議論したいものです。

さらにいろいろなアプローチが提案されれば面白いですね。うるとらーあんそ
らっくすさんのアイディアも楽しみに待っています。



192 :29:02/01/22 10:22
 先日取り上げた蝶に付いて、少し調べてみました。参考になりそうなページを
幾つか。

http://www.city.itami.hyogo.jp/k_chou/mushi/98Migrat/Okaba/Okaba.html
日本語のページです。大まかな事はこのページで分かるかと思います。

http://www.monarchwatch.org/
英語ですが、かなりの情報量です。

ttp://jeb.biologists.org/cgi/reprint/199/1/93.pdf
論文の一つをピックアップしてみました。(私も未だ読んでいません。)

 調べた感じでは、すべての蝶が100m四方に集まるという事ではな
さそうです。その地方では、蝶が集まる場所が決まっているという事な
のでしょう。(なにぶん、口コミだったので、スマソ。)ただ、かなり
の距離を移動するので、移動距離から考えたら移動先はピンポイントに
近いように思います。

 実験手法について、幾つか出てきましたね。遺伝学者の私としては、
「変異型をとる」というのも有効な実験手法である事をもう一度述べて
おきたいと思います。まず、発生学のホメオボックスのレベルに追いつ
きたいですね。その後の展開がどうなるかは分かりませんが、ここ2ー3
日のレスで述べられている方法にも役立つ可能性があると思います。

193 :名無しゲノムのクローンさん:02/01/22 12:02
>>147,192
日本語と英語のページ見ました。北の繁殖地から南に初秋渡り、越冬し、春また渡ってかえってくるのは
同じ個体群です。そして北の繁殖地で3、4世代繁殖し、初秋にまた渡る。
越冬地の場所が正確にわかっているというよりは、その方向に渡りをするということですね。北の繁殖地は覚えていてそこに戻ってこれるのかも知れません。

スケールはだいぶ落ちますが、
週刊朝日百科「動物たちの地球」77昆虫5、あげはちょう、しろちょうの
3-154ページに石井さんが日本のイチモンジセセリの移動について書いておられます。
この蝶は年3世代で、6ー7月発生の第一世代から生まれた8月生まれのだい2世代が
南西に移動し、産卵。第三世代の幼虫が越冬し、5ー6月に羽化して成虫になるそうです。冬幼虫が低温にたえられないことからこのような行動がおこっているようです。
この成虫が北に移動するかはまだわかってないそうです。日の長さによって外部形態
にも変化がみられ、おそらくホルモン変化で移動の神経回路がオンになるのかもしれません。これなら日本でやれるのでよさそうですが、減反政策で餌の稲が少なくなり
移動がめだたなくなって来ており、そのうち消滅するかもしれないそうです。


194 :名無しゲノムのクローンさん:02/01/22 13:47
サイエンス最新号の表紙になってる論文はまさにひとつの遺伝子がアリの社会行動、構成を規定するという代物では?分野の人の解説もきぼーん。

195 :除教授:02/01/27 14:53
繰り返しになりますが、このスレの文脈で蝶の渡りを理解しようとするとき
もっとも問題になるのが、外部から影響を及ぼす因子なんです。本当に本能
にのみ導かれているのか、あるいは、学習とか、その他の外的な影響が働いて
いるのか、その辺りを厳しく峻別する方法が欲しいですね。でないと遺伝子
レベルに話を持っていったとき、こんがらがると思うんですけど。

>>194さん
アリ、社会行動と聞くと、ウィルソンの社会生物学を連想しますよね。この
論文の著者もウィルソン流のネオダーニズムの一派だと想像しますが…。この
論文読んでいないんで、ハッキリしたことは言えませんが、社会行動というのは
つまり個体間の相互作用の過程/結果ですから、トックリ作りのような単独の
行動と比べてはるかに解析は難しいはずです。これまでこのスレで議論されて
きたことを元に考えると、ある遺伝子が昆虫の行動(社会行動も含めて)に影響
を与えうるということは十分受け入れられるのですが、じゃ逆に、その遺伝子の
変異によって、行動が消失したり、変化したばあい、その遺伝子はその行動を
規定しているといえるか…。答えはノーですよね?みなさんどう思います?

もしかしたら的外れな議論だったかもしれません。何しろ原著を読んでいない
もんで。先日ある先生が、最近の学生は原著を読まない、パブメド引いて解った
気になっている、と嘆いておられましたが、激しく同感…


196 :除教授:02/01/30 02:50
なんか話がごちゃごちゃしてしまいましたが、引き続き面白い動物の行動の
話募集中です。

197 :名無しゲノムのクローンさん:02/03/22 12:23
あげ





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